茨城の鳥インフル 84万羽を殺処分へ 10キロ圏内出荷制限 

2021年2月3日 13時09分
 茨城県は二日、城里(しろさと)町の養鶏場で死んだ鶏から高病原性の鳥インフルエンザの感染が確認されたと発表した。県内での感染確認は今季初。県は、この養鶏場で飼育する採卵用の鶏約八十四万羽の殺処分を始めた。
 産卵を終えた鶏は食用にも加工されているが、肉や卵から人に感染する可能性は低いという。
 養鶏場から一日午後、県に鶏の死亡数が急増したと連絡があり、簡易検査したところ、十三羽中十一羽が陽性になった。遺伝子検査でも陽性が判明した。
 県は二日朝から、陸上自衛隊の協力を得て殺処分や養鶏場の消毒などを開始。全羽の殺処分には十日以上かかる見込み。
 県は、半径十キロ圏内にある十八の養鶏場(計約百四万羽)についても、鶏や卵の移動や出荷を制限した。また、環境省は十キロ圏内で死んだ野鳥の検査などを強化している。 (保坂千裕)

◆「鶏卵王国」に衝撃  まん延防止へ県 国に支援要請

防護服を着て殺処分の準備をする県職員ら=城里町で、県提供

 「鶏卵王国」に衝撃が走った。城里町の採卵用鶏の養鶏場で高病原性の鳥インフルエンザ感染が確認された。本県は鶏卵の産出額や出荷量、採卵用鶏の飼育羽数がいずれも全国一位で、感染が広がれば影響は大きい。大井川和彦知事は二日、まん延防止に全力を挙げるため、国に物資提供などの支援を要請した。

葉梨康弘農林水産副大臣とのオンライン会談で国の支援を求める大井川知事=県庁で

 知事は、葉梨康弘農林水産副大臣(衆院茨城3区)とオンラインで会談。現場で殺処分や消毒などの作業に当たる獣医師のほか、防護服やマスクなどの資材が今後足りなくなる恐れがあるとして、国に後方支援を求めた。
 葉梨副大臣は「国としてもしっかりと応援する」と応じた上で、「養鶏は県で大きな産業。必要な努力を惜しむことはない。この農場だけでとどめるよう防疫措置をとっていきたい」と強調した。
 県では、大井川知事をトップとする対策本部会議を中心に、養鶏場が飼育する約八十四万羽の殺処分などを急ぎ、感染拡大防止を図る。
 農水省の統計によると、二〇一八年の本県の鶏卵の産出額は四百四十九億円、生産量は二十二万四千二百四十五トンで、いずれも全国トップのシェアを占めている。採卵用鶏の飼育羽数(一九年二月現在)も全国一位の千五百四十八万九千羽となっている。(宮尾幹成)

◆県内の同業者「感染経路分からず不安」

 城里町の養鶏場で鳥インフルエンザが確認されたことを受け、県内の同業者は警戒を強めている。
 石岡市や小美玉市、茨城町にある六農場を管理するJAやさと(石岡市)産直課の担当者は、県内で今季初めて確認されたことに「ここまでこないかと思っていたが、来てしまった」とショックを受けている様子だった。
 六農場では、合わせて約十三万羽を飼育し、生産された鶏卵は、東京都など主に県外に出荷する。出入りする車両や、管理者の全身をくまなく消毒するなど、日ごろからの対策を継続するとしている。
 常陸大宮市で個人や飲食店に直売している「石黒たまご園」の石黒正さん(68)も「感染経路が分からないので、非常に不安。見えるものではないので怖い」と吐露する。
 園では千五百羽をヒナから育てている。鶏のストレスを減らすためにケージではなく地面に放す「平飼い」をし、エサも材料から独自に作り、こだわりの飼育に取り組む。
 ウイルスを媒介する恐れがある野鳥の侵入を防ぐため、鶏舎を網などで囲うことも勧められているが、逆に、野鳥の止まり木になったり、風通しが悪くなったりする恐れもあり、対応に悩んでいた。(保坂千裕)

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