<新型コロナ>オンライン授業 「実施できる」埼玉県内の自治体、1/3未満 機器整備、通信費など課題

2021年2月4日 07時45分

オンライン学習用に1台ずつ配られたパソコンを操作する児童たち=蕨市立中央小学校で

 新型コロナウイルス感染拡大に伴い、注目が集まっているオンライン授業。本紙が埼玉県内六十三の市町村に行ったアンケートでは、一月八日時点で管内すべての小中学校で「実施できる」と回答した自治体は、三分の一に満たない十九市町村にとどまった。できるようになる時期を本年度中に広げても約六割の三十九市町村で、コロナ禍が長引く中、休校など万が一の場合に学びを保障する環境が整っていないことが浮き彫りになった。 (寺本康弘)
 アンケートは一月に県内の全六十三市町村に依頼し、管内の公立小中学校の状況を尋ねた。
 昨年の臨時休校期間にオンライン授業(朝の会など学活を含む)を「全校でできた」と回答した自治体は秩父、越谷、戸田、久喜の四市だった。学校再開から約七カ月たった今年一月八日時点では、「全校でできる環境にある」は十九市町村に増えた。他は四市町が「一部の学校でできる」、四十市町が「全校ともできない」と回答した。
 コロナ禍でオンライン学習への対応が急務となり、国は小中学生に一人一台ずつ情報端末を配備する「GIGAスクール構想」で、二〇二三年度までとしていた計画を前倒しし、本年度中の配備完了を目指している。
 これに沿うように、オンライン授業を「二月からできる」と「三月からできる」を合わせると三十九市町村。「四月からできる」まで含めると五十七市町村が準備が整うとした。一方で川越、日高の両市と松伏町は「めどは立っていない」、富士見市は「実施する予定はない」と回答。熊谷市はアンケートの選択肢にない「検討中」とした。
 オンライン授業ができない理由(複数回答可)は「児童生徒に端末が行き渡っていない」(四十二市町)が最多で、「ネット環境のない家庭がある」「校内の機器が不十分」と続いた。
 市立小中学生が約十万人のさいたま市の担当者は、そうした機材・環境の整備に加え、端末を使用可能な状態にするための設定や管理用シールの添付、保管庫の整備など関連の作業も膨大な量に及ぶと指摘する。
 また、所沢市は端末の配備は年度内に終わるものの、ネット環境がない家庭があることに加え、各校が一斉にオンライン授業をするとやりとりするデータ量が増え、現在の市のシステムでは対応できないという。設計を見直し中で、全校で実施できる環境が整うのは五月以降の見込みだ。
 自由記述欄は「家庭の通信費の補助拡充」や「教職員への支援体制の構築」など、国や県に予算や人的な支援を求める内容が多かった。「どのように評価するのか明確な指標等がない中でのオンライン授業の実施はなかなか難しい」(越谷市)との意見もあった。また、複数の自治体は、著作物を教材として使うためネット送信する際に、著作権者の許諾を不要とする代わりに支払う補償金について、負担の免除を要望した。

◆積極導入自治体「コロナ禍以外でも」

 オンライン授業に積極的に取り組む自治体は、その効果を実感している。飯能市は昨年の臨時休校の際、小中一貫の市立奥武蔵小・中学校で毎日一、二コマのオンライン授業を実施。子どもたちは画面越しでも久しぶりの授業再開に安心し、保護者からも歓迎されたという。中学校の数学では、生徒同士が「あの公式を使ったら解けるかも」と話す姿も。市は昨年九月にタブレット端末を市内の全小中学生に配備。通信費込みで家庭の負担がないようにした。
 久喜市も昨年の一斉休校時は一日に一コマ程度だったが、学校再開後も試行し、現在はオンラインでも時間割通りの授業に対応できるという。市の担当者は「先生のスキルが向上し、家庭側でも操作に手間取らなくなった」と説明する。
 昨年は小中学校全三校ともできなかった越生町は、十二月に端末の配備が完了。全校でできる環境が整った。越生中では、コロナ対応で念のため学校を休んだ生徒向けに授業をライブ配信。画面越しに意見を発表する機会もあり、問題なく行えたという。町の担当者は「今後はコロナだけでなくインフルエンザなどの学級閉鎖などでも授業を進められる可能性がある」と期待した。 (寺本康弘)

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