大企業非正規も対象となる休業支援金、残る課題は?<Q&A>

2021年2月5日 06時00分
 政府は中小企業の働き手に限っていた「休業支援金・給付金」の対象に、大企業の非正規労働者も加える方針を決めました。新型コロナウイルス禍で仕事を休まされた大企業のパート・アルバイトらが休業補償を受けられなかった事態は一歩改善に向かいそうです。しかし、着実に支援を届けるには課題もあります。(岸本拓也)
 Q 休業支援金はどういう制度ですか。
 A コロナ禍で勤務の日数や時間が減らされたのに、会社から休業手当がもらえない中小企業の労働者に対し、国が賃金の8割を支給する仕組みです。正社員のほか、派遣社員やパート・アルバイト、日雇いなどの非正規労働者も利用できます。
 Q なぜこの制度ができたのですか。
 A 会社は、自社の都合で休ませた働き手に休業手当を支払います。コロナ禍では、休業手当を支払った企業の費用を国が穴埋めする雇用調整助成金の特例もできました。しかし、休業手当を支払う資金を用意できない中小企業も多かったため、昨年7月、国が直接支給する休業支援金がつくられたのです。
 Q 大企業は対象外だったのですね。
 A はい。休業手当を支払う余力があるとみられたためです。しかし、大手の外食チェーンやホテルなどで働く非正規の働き手に休業手当が支払われないケースは絶えませんでした。多くの大企業が、勤務日が明確に決まっていないシフト制のパート・アルバイトらについて「休業手当の支払い義務がない」と主張したからです。
 厚生労働省は、非正規労働者にも雇調金を使って休業手当を出すよう大企業25社に文書で呼び掛けましたが、要請に応じた企業はありませんでした。大企業の非正規労働者は休業支援金も使えず、結果的に何の休業補償も受けられない状況に陥りました。この窮状を労働組合や野党などが訴え、今回ようやく国が動いた形です。
 Q 大企業の非正規労働者に支援は行き届くでしょうか。
 A 懸念はあります。厚労省は昨年、中小企業の非正規の働き手が休業支援金を受給しやすくなるよう、基準を改善しました。しかし、受給申請を受け付ける現場の労働局に十分に伝わらず、基準を満たしているのに不支給となるケースが相次ぎました。
 どういう条件なら大企業の非正規の働き手に支給されるかなど、詳細設計はこれからですが、労働局が新たな方針を徹底することは欠かせません。また、休業支援金があるからと、大企業が本来支払うべき休業手当を出し渋ることも考えられ、厚労省には企業の監視強化が求められます。

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