森喜朗会長の女性蔑視発言「日本の男女不平等を世界に発信」JOC山口香理事も批判

2021年2月5日 06時00分
 東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が、女性蔑視とも受け取れる発言をした日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会は、女性理事の積極的な任用についても議論していた。各競技団体などで女性役員を増やすことが求められる中、逆行するような発言に、女性理事の山口香筑波大大学院教授は「日本はまだ男女平等が進んでいないと世界に発信してしまった」と残念がる。(原田遼、飯田孝幸)

昨年1月29日に開催されたJOC理事会。女性理事は少ない=東京都新宿区で(代表撮影)

◆五輪精神

 「発言を撤回したい。五輪・パラリンピック精神に基づいた大会が開催できるよう努力していきたい」
 森氏の謝罪会見では、質問する側、答える側双方から「オリンピック精神」という言葉が繰り返された。国際オリンピック委員会(IOC)は五輪憲章で「男女平等の原則の完全実施」を掲げる。森氏の発言は、憲章に反するとの批判が相次いでいる。
 6月の理事改選に向けて役員選考の見直し作業を進めてきたJOC。その目的の1つが女性理事の任用で「幅広い視点から議論を行うため、女性理事を積極的に任用できる選考方法を構築する」としている。

◆女性4割

 JOC理事は現在25人いるが女性は5人。JOCはスポーツ庁がまとめた競技団体の運営指針に沿って、女性理事を40%に引き上げる目標を大きく下回っている。森氏が臨時評議員会で「女性理事を選ぶっていうのは文科省がうるさくいうんです」と発言したのは、この動きを指す。
 評議員会は競技団体の代表や国会議員、大学関係者など63人で構成する。3日の臨時会はこの役員選考方法の見直しが主なテーマで、会場に評議員18人を含む約40人がいたほか、評議員33人がオンラインで参加していた。
 森氏はJOCの名誉委員の立場で参加。議事終了後に38分間、スピーチした。女性理事任用に関する場面で「女性が入った理事会は時間がかかる」発言があったが、参加者から異論は出なかった。「私が言うと、また悪口を書かれる」と続けると笑いが起こった。

山口香・筑波大教授

◆発言「理解できない」

 「国内では現状、大会の延期や中止を求める意見が多い。イメージダウンしかねない」。柔道の元世界女王の山口香さんは4日、本紙などの取材に対し、森氏の発言を批判した。
 山口氏は3日のJOC評議員会にオンラインで参加。森氏の発言を聞き、「すぐに理解できなかった」と困惑。「五輪のホスト国である日本、東京、そこの組織委員会の発言。大会の信用に関わる」と嘆く。
 山口氏はIOC委員で2017年に死去した岡野俊一郎さんに生前、「五輪やワールドカップ(W杯)の開催は世界に窓を開くこと。日本の文化、風習でいいことも、世界に合わないことも見られてしまう。変わらないといけない」と聞かされたという。
 「欧米に比べて、ジェンダーバイアス(性別の固定観念)が強く残っている」と感じていた山口氏。招致をきっかけに政府とともに女性活躍を推進し、「一歩一歩努力して改善に向かってきた」と感じていただけに「理解できない」と失望は大きい。
 スポーツ界をつかさどるJOCの立場として「開催に向けてオープンな議論をして、機運を高めるしかない」と話した。

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