<法律お助け隊 今野久子弁護士>介護した事実婚の妻に遺産分配は

2021年2月6日 07時19分
<お悩み> 姓が変わることが嫌で事実婚に。2人の子は夫が認知し、生活費はほぼ折半。3年前から夫を心を込め介護しましたが、昨年亡くなりました。遺言はありません。息子たちは「故人の世話をした人に遺産からお金が支払われるようになった。せめて3人で平等に分けたい」と言います。私に権利がありますか。 (東京・女性60代)

◆親族に限定…不公平感も

<お答え> 息子さんが言うのは、民法改正で新設された「特別寄与料」です(一〇五〇条、二〇一九年七月以降に発生した相続に適用)。旧法では相続人以外の人(息子の妻など)が故人(被相続人)を献身的な介護でみとっても、遺贈する遺言などがなければ遺産の分配を受けられませんでした。しかし、それでは不公平との意見が多く、相続人以外でも、貢献に報いる趣旨で一定の金銭請求を認めました。
 特別寄与料の請求権者は、「被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又(また)は増加について特別の寄与をした被相続人の親族」です。「被相続人の親族」は法律上の親族。なので事実婚の配偶者は「親族」とされず、対象ではないと解されています。
 事実婚の夫婦は、婚姻費用の分担義務、同居義務、扶養義務、不貞をしない義務などは法律婚と同じなのに、相続権もありません。息子さんがあなたに遺産を分配すると、息子さんからの贈与として課税問題が生じます。
 対策として、事実婚の配偶者に一定の遺産を渡す遺言を作る方も多いです。しかし、税法上、法律上の妻(夫)ではないため、相続税の基礎控除の相続人の数には入らず、また配偶者控除の軽減措置も適用されないなど、多くのデメリットがあります。夫婦や家族のあり方も多様になっている時代に、別姓夫婦に対するこのような不利益な扱いは、不公平です。
 法律婚の夫婦に同姓を義務付けているのは先進国で日本だけです。あなたのような悩みを根本的に解決するためには、選択的夫婦別姓制度を早期に実現したいものです。

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