体温計も品切れ 検温義務付け、企業増

2020年4月15日 02時00分
 新型コロナウイルスの影響でマスク不足が続く中「体温計も手に入らない。なぜ?」との質問が読者から寄せられた。取材を進めると出勤前の検温を義務付ける企業の急増が大きな要因であることが分かってきた。メーカーは増産しているが、感染がさらに拡大すれば体調に異変を感じても検温すらできない人が増える恐れがある。
 「薬局やコンビニを何軒も回ったが品切れだった」
 東京都練馬区の会社員菊池智雄さん(55)に、都内で一人暮らしの母の郁子さん(83)から「SOS」電話があったのは二週間ほど前。郁子さんは体調管理のために毎日検温していたが、電子体温計が故障した。
 菊池さんもドラッグストアを三軒ほど回ったが、どこも売り切れ。自宅で予備を見つけて郁子さんに届けた。菊池さんは「マスクは家でつくれても体温計は無理。必要な時にないのは困る」と話した。
 一個二千円前後で「一家に一個が基本」と思われる体温計。ただメーカーによると一人暮らしの若者などには持っていなかった人も多く、勤め先の企業から出勤前やテレワーク開始前の検温を義務付けられ購入するケースが急増した。
 さらに人体に危険な水銀を使用する体温計の製造が二〇二一年一月以降、禁止されることを受け、自治体が回収を強化したことも影響したとの見方がある。横浜市の場合、区役所などに回収箱を置き一七年七月から一年間で約二万四千個を回収した。水銀体温計を手放してもすぐ新しい体温計は買わず今回急いで購入した人もいた可能性がある。
 生産は例年、インフルエンザ流行期の年末年始がピークだが、各メーカーは二月以降、異例の増産態勢に入っている。オムロンヘルスケア(京都府向日市)は中国の工場で通常比50%増の一日約五万個を生産。さらに今月末には70%増の約六万個に増やす計画。テルモも増産を続ける。だが、ある卸売業者は「まだ小売店からの注文数がはるかに多い」と話し、品薄解消時期は「見通せない」(メーカー各社)状況だ。 (池井戸聡)

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