ID「不一致」警報でも入室許可 東電社員が独断で認証情報変更も 柏崎刈羽原発の心臓部に不正入室

2021年2月9日 09時10分
 東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)で昨年9月、東電社員が同僚のIDカードを無断使用して中央制御室に入った問題で、出入り口でIDと本人確認の認証情報が「不一致」という警報が出たにもかかわらず、警備担当社員が入室を許可していたことが分かった。複数の警備員が成り済ましに疑念を抱いていたことも判明。東電のずさんな危機管理体制が明らかになった。
 原子力規制委員会は8日に非公開の臨時会合でこの問題を議論し、東電の自主的な取り組みには任せられないと判断。追加検査し、改善状況を把握する。
 中央制御室は原子炉を操作する設備で、原発の中核。危機管理上、入退室が厳しく制限されている。

◆疑念持った警備員 顔写真と何度も見比べたが

 規制委事務局である原子力規制庁によると、昨年9月20日、中央制御室に勤める社員が更衣室でIDを見つけられず、無施錠だった同僚のロッカーから持ち出したIDを2カ所ある出入り口で使った。
 1カ所目では、下請け会社の警備員2人がそれぞれIDの顔写真と違うことに疑念を持ち、複数回本人と見比べたり、名前を確認したりしたが通過を認めた。
 
 2カ所目では、IDに登録されていた本人確認の情報と一致しないことを示す警報が出た。しかし警備担当社員は、モニター越しに顔写真と見比べただけで入域を認めた上、認証情報を不正入室した社員のものに独断で変更。翌日、本来の持ち主が入室できず、IDの不正利用が発覚した。
 東電は「本人確認の見直しなど、対策を早急に進める」とコメントを出した。

◆原子力規制庁は規制委に報告せず その間に東電は審査パス

 また規制庁は昨年9月21日に東電から報告を受けたが、規制委には4カ月間、報告していなかった。規制委は昨年9月23日の定例会合で、柏崎刈羽6、7号機の再稼働に必要な管理手順をまとめた「保安規定」の変更を了承。会合前に規制委が問題を把握していれば、判断が異なる可能性もあった。
 規制庁の吉川元浩安全規制管理官事務代理は「規制委にすぐに報告すべき事案でないと判断したことが甘かった」と述べた。(福岡範行)

東京電力柏崎刈羽原発 1~7号機の全7基で総出力約821万キロワットは世界最大規模。福島第一原発と同じ沸騰水型という発電形式の軽水炉。東電は2013年9月に6、7号機の再稼働を優先し、原子力規制委員会に審査を申請。両基は17年12月に新規制基準に適合した。避難計画の策定が義務付けられている原発30キロ圏の9市町村には、約44万人が住んでいる。

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