#みんなの卒業式 用意した出し物が中止に 保護者に音声配信

2020年3月13日 17時23分

◆公会堂での演劇中止 「先生の涙見て心臓キュッとなった」 横浜市

感染予防のため保護者や在校生は参加せず、卒業生の座席を離した状態で行われた卒業式=11日、横浜市戸塚区で

 市立学校全五百十校が臨時休校している横浜市で十一日、中学校百四十五校の卒業式が行われた。保護者や在校生が参加しない異例の式典となる中、卒業生によるあいさつでは、休校への思いや卒業に向けた行事が中止された無念さが率直に語られた。
 「二月二十七日の夜、ニュースで突き付けられた休校要請。登校して先生の涙ぐんだ表情を見ると、心臓をキュッと握られたように苦しくなりました」。同市戸塚区の南戸塚中学校で卒業生百七十六人の代表として壇上に立った内田夏輝さん(15)は言葉を詰まらせた。
 生徒たちは三月五日、三年間の総決算として地域の公会堂で学年集会を開き、保護者を招いて演劇などの出し物を披露する予定だったが、臨時休校により中止に。「作った台本、練習した日々、すべてが無駄になりました。先生方がせっかく用意してくれたステージだったのに。なのに空は鮮やかな青色いっぱいで、怒りの感情がこみ上げるばかりでした」。率直な吐露に、卒業生からすすり泣く声も聞かれた。
 それでも「式はこのような形になってしまいましたが、卒業を迎えられたのも先生方がいたから」と感謝。共に卒業する仲間に「これからは一人ひとり違う扉を開いていきます。最後の時間は納得いく形ではなかったかもしれないけど、またいつか、笑顔で、納得いく形で同じ扉を開く日を待っています」と語り掛けた。壇上で言葉を聞いた石黒裕校長も目元を拭った。(杉戸祐子)

◆スマホで聞き晴れ姿想像 「音声だけでも厳かな雰囲気伝わってきた」 千葉県柏市

校庭で卒業式の配信音声を聞く卒業生の家族=柏市の市立柏第二中学校で

 新型コロナウイルスの感染防止で卒業式に参加できない保護者のため、千葉県柏市立柏第二中学校は十二日、体育館で行われた式の様子を音声で配信した。校庭や自宅で待機した保護者たちはスマートフォンなどを使って聞き入り、子どもたちの門出を祝った。
 音声配信はインターネットを介して中継される仕組みで、保護者には事前に学校から専用URLが送られた。十二日朝、校庭では約四十人の保護者が待機。それぞれスマホを手にし、卒業証書授与で子どもの名前が呼ばれると、拍手や歓声を上げる人も。三男が卒業する須崎美紀さん(50)は「卒業式が無事開かれてほっとした。音声だけでも、厳かな雰囲気が伝わってくる」と聞き入っていた。
 卒業生の塩坂那奈さん(15)は「友達と久しぶりに会えて楽しかった。お母さんたちが式にいなくて寂しかったけど、校庭で聞いていてくれたのでうれしい」と笑みを浮かべた。
 柏市ではこの日、全中学校の卒業式を卒業生と教職員のみで開催。柏第二中は少しでも保護者に様子を伝えようと、パソコン周辺機器メーカー「アイ・オー・データ機器」(金沢市)の無償協力を得て音声配信を実施した。柏市教育委員会によると、卒業式の様子を動画投稿サイト「ユーチューブ」で中継したり、録画したりする中学校もあった。(太田理英子)
(2020年3月12日夕刊に掲載)

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