黙って給食 時間に追われ 小学校もぐもぐタイム 現場は苦慮

2020年2月23日 02時00分

配膳係(左側)の児童が全員分の給食を配ることで時間を短縮している教室=東京都板橋区の区立徳丸小学校で

 小学校の給食で一定の時間は黙って食べる「もぐもぐタイム」の広がりを「ニュースあなた発」(昨年十二月二十二日朝刊掲載)で紹介したところ、現場からさまざまな反響が届いた。中でも、多いのが時間のなさを指摘する声だ。配膳や片付けに加え、食育も求められているのが昨今の給食という。「もぐもぐタイム」から、時間に追われる現場の苦慮がみえてきた。 (小形佳奈)
 文部科学省の学習指導要領で給食は「学級活動」に位置付けられ、学級担任の裁量に任される部分も多い。「もぐもぐタイム」を導入している教室も、していない教室にもそれぞれの理由がある。
 本年度から全校で実施している都内の小学校の女性教諭(41)は「食べ残しを減らすのが目的。職員会議で『最初はおしゃべりしながら食べたいよね』という意見が出て、最後の五分に統一した」と説明する。
 やはり導入している葛飾区立小の女性教諭(64)は「最初の十分をしゃべらず食べると、一年生でも七割以上の子が二十分で食べ終わる。口に物を入れて話さないというのは礼儀として教えている」。
 四十年前から先輩教諭らが行い、当時は子どもたちに完食も強制していたという。
 板橋区立小の女性教諭(46)は「口の中に入れたまま話すと、食べ物を飛ばしてしまう」と衛生面の視点からも必要との考えだ。
 逆に東京・多摩地区の小学校で二年生を担任する女性教諭(60)は、給食を子どもとのコミュニケーションの場と位置付け、おしゃべりを楽しむ。「みんなでわいわいしていると、普段食べない物にチャレンジできることも。体力が付いてくると食欲も旺盛になってくる。変なきまりで子どもを縛らない方がいい」と話す。
 一方、「あと十分あれば、もぐもぐなしでも食べられる」との声も複数あった。今回、話を聞いた教員全員が「給食時間は短い」と言う。四十分の給食時間のおよそ半分は配膳や片付けの時間。食事時間は二十分という学校が多い。
 四時間目を早めに切り上げたり、配膳をシステム化したりして「三十分確保する」という教員もいた。だが、多くの学校にとって「あと十分」を捻出するのは難しい。葛飾区の女性教諭は「延ばせば昼休みが短くなったり、下校が遅くなったりする」とこぼす。
 先生にとっても給食時間は忙しい。板橋区立徳丸小の林真未教諭(55)は「子どもたちが食べている間に、連絡帳の返事を書き、他のクラスとの連絡に立ち、午前中に起きた子ども同士のトラブルの仲裁をし、おかわりの対応をする。自分が食べる時間は五分」と余裕のなさを訴える。
 〇八年に学校給食法に盛り込まれた食育推進の影響も指摘されている。複数の教員からは「外国語や道徳が教科化され、食育まで手が回らない」という声もあがる。もぐもぐタイムの広がりには、こうした現場の苦心がにじむ。
 都内の小学校で二年生を受け持つ宮沢弘道教諭(42)は「食べる食べない、しゃべるしゃべらないは個々に委ねるべきだ。栄養学の部分は教えても、食事、排せつ、睡眠といったプライベートに公教育は踏み込むべきではない」と食育のあり方に疑問を呈した。

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