トランプ氏有罪の機運遠のく アメリカ議会襲撃事件、9日から上院で弾劾裁判

2021年2月9日 20時48分
【ワシントン=金杉貴雄】米議会襲撃を扇動したとして下院に弾劾訴追されたトランプ前大統領(共和党)の弾劾裁判が9日午後(日本時間10日未明)、上院で始まる。米国の民主主義を揺るがす衝撃の事件だったが、トランプ氏を有罪とする機運は共和党内で遠のいていて、評決は早ければ来週にも出される。

◆上院出席議員3分の2で有罪

 バイデン政権の与党民主党と野党共和党の上院幹部は8日、弾劾裁判に関する当面の日程で合意した。9日には退任した前大統領の責任を弾劾裁判で問うことの合憲性を討論。10日からは検察官役となる下院の民主党議員とトランプ氏の弁護団がそれぞれ最大で2日間ずつ主張し合う「冒頭陳述」が行われる。

8日、米ワシントンで、トランプ前大統領の弾劾裁判を翌日に控え、連邦議会議事堂に集まった上院議員ら=AP

 評決では、陪審員役となる上院出席議員の3分の2の賛成で有罪、3分の2に届かなければ無罪となる。上院は定数100で民主、共和両党が50議席ずつのため、有罪とするには共和党議員17人が賛成に回る必要がある。

◆共和党議員の賛成、少数か

 だが1月下旬には、弾劾裁判実施自体の是非を問う投票が行われ、共和党議員の賛成は5人にとどまった。議会襲撃事件直後には、弾劾訴追の動きを歓迎していたとされるマコネル院内総務も反対に回った。ランド・ポール議員(共和党)は投票後、弾劾訴追決議は「(上院への)到着と同時に死んだ」と皮肉った。
 背景には、トランプ氏とその支持者たちの党内での影響力がある。下院では弾劾訴追に賛成した共和党議員10人への風当たりが強まった。その代表格のリズ・チェイニー氏への党役職解任の動議は圧倒的多数で否決されたものの、同党の上下両院の議員には党の予備選で別の候補を立てられることへの懸念がある。

1月6日、米ワシントンで、連邦議会議事堂の襲撃事件の直前、支持者らに演説するトランプ前大統領=AP

 トランプ氏に対するウクライナ疑惑の弾劾裁判では、本格審理入りから評決まで2週間かかったが、今回は1週間ほどで評決となる見通し。
 民主党内には、弾劾裁判が長期化すれば、バイデン政権が最重視する新型コロナウイルスの経済対策法案の審議などに及ぼす影響を懸念する声があり、党内対立を長引かせたくない共和党と、思惑が一致した。

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