「常識なし」は誰なのか

2021年2月10日 07時24分
 「検察の独立を脅かす」と世論の猛反発を受けて廃案になった検察庁法の改正案。どんな経緯を経て立案されたのか−。昨年末にまとめられた「法務・検察行政刷新会議」の報告書を読んでも、その謎は解けなかった。
 長年の法解釈を内閣の一存で変更して、検察官の定年延長について閣議決定した問題である。内閣が検察幹部の人事に手を突っ込める重大な内容だっただけに、その経緯は国民に明らかにされねばならない。
 会議を設置した森雅子前法相も国会で、一連の経緯を文書で明らかにすると約束していたはずである。「行政の透明化」を検討課題にしたのだから、政治権力の人事介入というテーマは最も透明化されるべきである。
 東京高検検事長に前代未聞の定年延長をするのに、法の解釈変更を「口頭決裁」していた。こんな点を踏まえたのだろう、「法務省の取り扱いは公文書管理法に違反する」と述べた会議の委員もいた。
 「法律の解釈変更が大きな関心を呼ぶことは事前に予測できたはずであり、できなかったのであれば組織の能力に問題がある」−そんな意見もあった。
 残念ながら、会議の提言は「検察幹部が常識から乖離(かいり)しないよう幹部研修を」などと、当たり障りのない内容だった。だが、本当に常識から乖離していたのは、内閣や法務省の高官たちではないのか。 (桐山桂一)

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