コロナワクチン 公平分配へ国際協力を

2021年2月10日 07時24分
 新型コロナウイルスのワクチン接種が欧米で始まり、日本でも準備が進んでいる。感染拡大の歯止めになると期待がかかるが、世界各国に公平、均等に分配されることの重要性も忘れてはならない。
 世界で感染者の増加が止まらない。変異株も確認されており、まだまだ収束のメドはつかない。
 希望はワクチン接種が始まったことだ。少なくとも一回接種を受けた人が、世界で一億人を突破したという。普及は加速している。
 日本でも二月中旬から医療従事者への接種が始まる予定だ。ワクチン保管用の超低温冷凍庫の配備も広がっている。情報を適切に公開しつつ、安全な接種に努めてほしい。
 心配なのは「ワクチン・ナショナリズム」と言われる現象だ。先進国がワクチンを買い占め、価格の高騰をもたらすことを指す。
 ワクチン接種国の大半は、富裕国だ。接種回数の四割を米英が占めているとの統計もある。
 欧州連合(EU)は、域内の供給優先のため、ワクチンの輸出規制を発表し、批判を受けた。
 中央アジアや中米の国々ではまだ接種が始まっておらず、貧富の差が、そのままワクチン格差につながっている。
 「自国優先主義」がはびこれば、世界的な流行に歯止めをかけるのは難しい。最終的には、先進国にもツケが回ってくる。
 世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長も、ワクチン・ナショナリズムについて「短期的な政治目的の達成には役立っても、それは近くしか見ておらず、自滅的だ」と批判している。
 一方、ワクチンを共同出資・購入し、発展途上国にも無償で供給を行う国際枠組み「COVAX(コバックス)」は、今月にも百四十五カ国・地域にワクチンの供給を開始する計画だ。
 先進国は、緊急性の高い自国内の医療従事者や高齢者への接種を終えたら、COVAXを通じ、ワクチンを均等に配分してほしい。
 ワクチンで先行する米国とロシアはCOVAXに参加していない。再考を促したい。
 人口百人当たりの接種回数が世界一多いイスラエルは、対立するパレスチナに二千回分を供給したという。需要には全く足りないものの、歓迎すべき動きだろう。
 インドや中国も、周辺国にワクチンの無償提供を始めた。自国外交への過度の利用は慎むべきだが、ワクチンをめぐる国際協力が広がることを期待したい。

関連キーワード


おすすめ情報