キリン、マンモス、シマウマ 福島第一原発に残る「あの日」活躍した車両 

2021年2月10日 09時00分

北側敷地に集められた廃棄車両。放射能汚染で構外には出せない=2021年1月、本社ヘリ「おおづる」から(戸田泰雄撮影)

 東京電力福島第一原発の上空にヘリで向かうと、北側の廃棄物エリアですし詰めに並ぶ無数の車両が目に入った。そこには事故直後に、メルトダウン(炉心溶融)した原子炉や、冷却機能を失った使用済み核燃料プールの過熱を防ぐために活躍した車が多くある。

◆各地から集められたポンプ車、電源車、給油車

 東電は、首都圏の火力発電所からポンプ車や電源車などをかき集めた。原子炉に注水する淡水が足りず、3号機タービン建屋前のピット(堀)にたまっていた海水をポンプでくみ上げて、各号機への海水注入に踏み切る。港の物揚げ場からポンプ車でピットに海水を補給しながら、急場をしのいだ。

屋根に大きな穴が開いた3号機タービン建屋前にはピット(堀)があり、そこにたまった海水を消防車が建屋内に注水した=2011年3月24日(東京電力提供)

◆自衛隊ヘリ、警視庁の高圧放水車の水はプールに入らず

 地上約30メートルにある原子炉建屋内の使用済み核燃料プールでは、核燃料の発熱で水がどんどん蒸発した。自衛隊のヘリや警視庁の高圧放水車も投入されたものの、水はプールに届かなかった。

港湾の物揚げ場から海水のくみ上げに使われた消防車(東電提供)

◆作業員たちが動物の愛称 生コン圧送車で危機しのぐ 

 危機を救ったのは、建屋上部まで伸びる長いアームを持つコンクリート圧送車だ。作業員らからは「キリン」「ゾウさん」「マンモス」といった動物の愛称が付けられた。廃棄物エリアには、そのうちの1台「シマウマ」と呼ばれた深緑の圧送車があった。岐阜の建設会社の車両で、2011年3月27日に現場へ入った。

4号機の使用済み核燃料プールに注水するコンクリート圧送車(モザイクは東電による)=2011年3月24日(東電提供)

 コンクリート圧送車について、事故収束作業を指揮した吉田昌郎所長(故人)は「あれはいいです。あれが来て初めてちゃんと注水できた」と、政府の事故調査・検証委員会の聴取で述べていた。

1号機タービン建屋に飛散防止剤を散布する屈折放水塔車(東電提供)

 東京消防庁は、マンションなど高所の火災を消火するための屈折放水塔車も投入。現場では、建屋から高濃度の放射性物質が付着した粉じんが飛び散らないよう、粘着液を散布するのに使われた。(山川剛史)

おすすめ情報

東日本大震災・福島原発事故の新着

記事一覧