バイデン氏内憂外患 パイプライン建設許可取り消しで米国内に反対論 カナダも反発

2021年2月11日 06時00分
 【ニューヨーク=杉藤貴浩】バイデン米大統領の就任で改善が期待される米・カナダ関係に、両国をまたぐ原油パイプライン計画が影を落としている。環境重視を掲げるバイデン政権が建設許可を取り消し、カナダ側は地元を中心に猛反発。米国内にも取り消しへの反対論は根強く、決着への道筋は見えない。
 バイデン氏は1月22日、カナダのトルドー首相を相手に、就任後初の首脳協議を電話で実施。新型コロナウイルス対策や経済回復など多方面で綿密に協力することを確認した。
 自国の利益だけを追求したトランプ前大統領に批判的だったトルドー氏は会談後「われわれは肩を並べて課題に対処する。ジョー、またすぐに話をしよう」とツイッターで発信。経済や安全保障で圧倒的な結び付きを持つ対米関係の進展に強い期待を示した。
 ただ、就任から矢継ぎ早に公約を具体化するバイデン政権に、トルドー氏が「失望した」と批判を隠さないのが、パイプライン計画「キーストーンXL」の建設許可取り消しだ。

◆9400億円のプロジェクト

 カナダ西部から米中西部を通る総工費90億ドル(約9400億円)の巨大プロジェクトで、建設による直接雇用やカナダで産出した原油の輸送コスト削減などの効果が見込まれる。高い環境負荷の恐れなどからオバマ政権(当時)はカナダ企業の建設申請を却下したが、トランプ氏は産業と雇用を優先し許可していた。
 バイデン氏は、就任から数時間後に許可を取り消す大統領令に署名した。再び計画が暗礁に乗り上げたことに、トルドー氏は「カナダは米国へのエネルギーの最大供給国で、国境の両側で何千もの雇用を支えている」と強調。カナダ側の地元アルバータ州のケニー州首相は「最重要同盟国への侮辱だ」と怒りをあらわにした。
 米国でも、最大の労働組合「米労働総同盟産別会議(AFL・CIO)」のリチャード・トラムカ議長が今月7日、「多数の雇用を失う」と反発。9日には、与党民主党で上院エネルギー・天然資源委員会のジョー・マンチン上院議員も再検討を求めるなど、バイデン氏は内憂外患に見舞われている。

関連キーワード


おすすめ情報

国際の新着

記事一覧