<新型コロナ> ワクチンを診療所などで個別接種OKに 医師確保や輸送手段は…自治体不安

2021年2月11日 06時00分
 厚生労働省は、新型コロナウイルスのワクチン接種を巡り、体育館などに会場を設営する「集団接種」のほか、地域の診療所などを活用する「個別接種」を拡大するとした手引書を自治体に9日付で通知した。与党の意見を踏まえ、接種ルートの多様化を図るが、医師の確保や輸送手段などの課題は多く、実務を担う自治体は不安を抱える。

◆厚労省が通知

 政府にとっては、ワクチン接種はコロナ対策の「切り札」。当初、厚労省は「集団」を中心とする考えだったが、先月末に「個別」も含める方針に転換。年齢や生活スタイルなどが異なる対象者に速やかに行き渡らせるため、職場やその近辺の「職域」でも接種可能かも検討している。
 自民党が9日、政府に出した提言では、高齢者については「個別」も中心的なルートとすべきだと主張。基礎疾患を抱える人も多いとみられ、「副反応への対応やそのリスクの把握」にはかかりつけ医が適していることを理由に挙げた。「職域」では、勤務先の健康診断の情報活用を求めた。
 公明党が10日、大筋了承した提言案は、学校や会社が集まる「昼間人口の多い地域で、学生や企業人などの円滑な接種を進める」と指摘。透析患者らを例に、訪問巡回による接種に「特段の配慮」も求めている。
 接種ルートの多様化には課題もある。ワクチンは「強い振動でも品質に影響が出る恐れがある」(田村憲久厚労相)ため、会場が増える「個別」の場合、運搬上のリスクが高まる。米製薬大手ファイザー製は零下75度で保管する必要があり、小規模な診療所などで対応できるのかという懸念もある。「職域」も、自宅のある自治体との情報共有が不十分となる恐れが指摘される。
 大規模なワクチン接種は「過去に例のない一大プロジェクト」とされ、自治体には不安も広がる。参院自民党が全国の首長に調査したところ、「コロナ対応に追われる中で医師や看護師らの確保は無理」とする回答が800件以上あった。
 特殊な注射器不足で接種回数が減ることも問題化した。10日の公明党部会では「国産できるよう対応すべきだ」との意見が出た。(坂田奈央、市川千晴)

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