残り30分 デュエルで負けるな W杯8強への課題を森保監督が分析

2021年2月11日 06時00分
 「デュエルで負けず、攻撃でボールを保持し、強度高く戦える時間を増やす」。2022年ワールドカップ(W杯)カタール大会を目指すサッカー日本代表の森保監督が、コーチとして臨んだ18年W杯ロシア大会時のデータから、目標とするW杯8強入りへの強化ポイントを指摘する。1対1の球際勝負を表すデュエルの回数など、公開された数値から目指す姿を探った。(唐沢裕亮)
 日本サッカー協会が1月に指導者向けの講習会「フットボールカンファレンス」をオンライン開催。登壇した森保監督は、16強止まりだった日本の戦いを、優勝したフランスや日本の8強入りを阻んだベルギー、クロアチアやブラジルなど8強と比較するデータを示した。

◆終盤に強度・パス成功率低下

 1次リーグとトーナメント1回戦の各チーム4試合ずつを、ピッチを縦横に分割。デュエルがあったエリアと回数を比較すると、後半15分あたりから、日本にある傾向が表れた。前半と合わせた約60分間はクロアチア、ブラジルなどよりも少なく、フランスと同等だったデュエルの「負け」回数が、残り30分余りの間では最多タイとなった。
 とくに中盤の両サイドでの負け数は全体の約半分を占め、森保監督は「ここ(の勝率)を上げていかないといけない」。終盤まで強度を持続させ、個々が局面で相手に勝てるかが課題との認識を示した。デュエルは、ハリルホジッチ元日本代表監督が選手に求める指標として多用していた。
 日本代表と両輪をなすJリーグと、欧州主要リーグを比較したデータも提示。リバプール(イングランド)やレアル・マドリード(スペイン)など各リーグの上位3チームの開幕10試合と昨季Jリーグでは、中盤でデュエルで勝った割合は、川崎などJリーグ勢は欧州勢より10ポイントほど低かった。
 日本が後半3分、7分にゴールするも逆転負けしたベルギー戦から、後半の時間推移で見た「パス成功率」も示された。展開により時間を4区分したうち、日本がリードを広げた序盤の数分間は87%だったが、相手が圧力を高めてきた20分ごろまでの時間帯は63%に低下。その後の数分間は74%に戻すもパスミスの数は相手の倍の10回で、2点を追い付かれた。決勝点を決められた終了間際までの約23分間は77%で、ベルギーは85%を維持した。
 「圧力を受けながらも、もっと自分たちがボールを保持してつなげる局面はあった」と森保監督。時間帯によってボールを保持し、主導権を握りながら疲弊を抑えれば、その後のプレー強度が保たれることにもなる。日本が目指す好循環のベースを築くには、デュエルの勝利とともに生命線であるパス精度の維持が欠かせない。

◆遠藤のように当たり勝て

 日本サッカー協会は育成年代からの体系的な肉体強化にも着手する。代表強化や選手育成などを担う技術委員会に昨年末、フィジカルフィットネスプロジェクトのリーダーの菅野淳氏が加わった。フィジカル専門の指導者ライセンス制度も今年新設した。
 日本のサッカーは海外勢との身体的な差を技術や俊敏さで回避しようとする考え方が根強かった。だが、日本選手でもデュエルで上回る可能性を示した好例がいる。2018年に欧州に渡り、ドイツ1部リーグのシュツットガルトに所属する遠藤航(28)だ。
 17歳でJ1デビュー。当時所属していた湘南の監督だった日本協会の反町康治技術委員長は、10年前を「全然スピードについていけず、当たりもダメだった」と振り返る。欧州移籍後は球際の強さが光り、今季リーグが公表するデュエルの勝利数でトップに立った。178センチ、76キロの身体でも当たり負けしない。
 欧州トップチームは高強度のプレッシングサッカーが潮流で、「今のサッカーは、がっぷり四つになって何ができるかだ」と反町技術委員長。日本の土壌からデュエルにも強い選手をいかに育てるかが重要視されそうだ。

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