開かれた国会、後回し60年余 与野党対立理由に対応進まず

2019年4月7日 02時00分
 国会審議の主な舞台となる各委員会を一般の人が傍聴する際に、委員長の許可が必要だったり、国会議事録の公開が遅くなったりすることに、さいたま市の大学四年、桐生百香(きりゅうももか)さん(21)から「政治にアクセスがしにくい」と疑問が寄せられた。調べると、長年の与野党の対立を理由に情報公開への対応が後回しにされている実態が見えてきた。開かれた国会に向け、与野党には真摯(しんし)な取り組みが求められる。 (川田篤志)
 衆参両院の各委員会は国会法の規定で、原則として議員以外は傍聴できない。一般の人は議員の仲介で委員長の許可をもらう必要がある。本会議は一般の人も衆参両院にそれぞれ申請すれば傍聴が可能だ。
 委員会も戦後しばらくは傍聴できた。非公開となったのは、国会法が一九五五年一月に改正されてから。
 当時の議事録によると、保守系議員が革新系政党に近い労働組合関係者の傍聴態度を問題視し「委員の発言にやじを飛ばし、制止を聞かない」と批判。委員の発言の自由確保を理由に傍聴の禁止を主張し、非公開化につながっていった。
 この年は左右両派に分かれていた日本社会党が再統一する一方、自由、日本民主両党の合同で現在の自民党が誕生し「五五年体制」が確立した時だ。五五年体制の時代は終わって久しいが、委員会の原則非公開は当時の保革対立の名残のように今も続いている。
 他国の国会傍聴ルールはさまざまだ。国立国会図書館の調べでは、米国は原則傍聴可。英国は法案審査をする委員会は傍聴可だが、行政監視の特別委は不可。ドイツは上下両院ともに原則非公開。
 フランスは下院で原則傍聴可だが、テレビ中継が主流という。国会図書館の担当者は「公開による透明性の確保と、非公開による真実の追求をてんびんにかけて判断しているようだ」と話す。
 議事録公開の遅れにも与野党の対立が絡んでいる。衆院記録部によると、政府関係者や議員が発言の修正や撤回を求めた場合に公開が遅れるという。議事録は通常、委員会の開催日から一週間~一カ月で衆参各院のホームページに掲載されるが、一年以上公開されない場合もある。
 最近では、外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法改正案について集中審議した昨年十一月二十六日の衆院予算委などで議事録が未公開だ。衆院委員部によると、与野党の理事間で発言修正の可否を協議しており、公開のめどが立たないという。
 桐生さんは、「未公開の議事録があるなら、その理由をホームページ上に明記してほしい」と求めている。

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