都、花粉飛散量の発信 なぜやめた? 1時間ごとにネット更新 「詳しかったのに…」

2019年3月17日 02時00分

昨年まで運営されていた「とうきょう花粉ネット」のサイト=東京都健康安全研究センター提供

現在見られる花粉飛散量のグラフ(「東京都アレルギー情報navi.」のサイトから)

 花粉症の人にはつらい季節。患者歴30年以上という東京都杉並区の主婦(62)から、本紙に「東京都がネットで発信していた詳しい花粉飛散量情報を参考に外出していたのに、今年からやめたのはなぜ?」との疑問が寄せられた。「五輪に予算を使いすぎたからでは」といぶかる女性の声を、発信元の都健康安全研究センターにぶつけた。 (奥野斐)
 女性が頼りにしていたのは、センターが運営していたウェブサイト「とうきょう花粉ネット」。一時間ごとに花粉飛散量が更新されるため、最新の飛散量を確認してから、多い日には完全装備で外出していたという。地域を指定すると、メールにその日の花粉予報も届いていた。
 そのサイトが今季を前に終了。女性は代替策として、環境省がネットで公開する花粉飛散量などを参考にしているが、「環境省の方は都内に観測地点が二カ所しかない上、見づらい。都の情報は詳しくて、当てにしていたのに」と残念がる。
 センター健康危機管理情報課の高橋佳代子課長代理は、女性の声に「そこまで使ってくれていたとは…。ありがたい」と感無量な様子。「五輪に予算を使いすぎたから?」と女性の質問をぶつけてみると、高橋さんの上司、秋場哲哉課長が「それはない。やめても、そんなに予算が浮かないですよ」と苦笑い。
 ではなぜ終了したのか。
 高橋さんは「まず自動測定機が製造中止になったんです」と切り出した。

都が建物屋上に設置している花粉採集器。「ダーラム法」での測定を続けている=東京都新宿区で

 全国に先駆けて花粉症対策に取り組んできた都が、二〇〇九年度から本格運用を始めたのが、リアルタイムで飛散量が分かる同サイト。都内十カ所の観測地点のうち四カ所で、異なる花粉を区別できる高性能自動測定機「KP-2000」を配置していたが、老朽化でトラブルが起こるように。高橋さんは「数値の信ぴょう性が確保できなくなってきた。更新しようにも機械自体の製造が終わり、三月で保守期限も切れる。同レベルの測定ができる後継機もない」と説く。測定値を分析・処理するサーバーの不具合も増えていた。
 加えて、都政モニターへの調査では、同サイトを利用したことがある人は2・2%(一六年度調査)とごくわずか。大半の都民が花粉情報をテレビや新聞、民間気象会社の予報サイトで得ていたことから「他の花粉情報で代替が可能」と判断したという。終了後に問い合わせが二、三十件来たが、再開予定はない。
 ただ、リアルタイムの情報提供ではないが、センターでは人力で花粉量を数える「ダーラム法」でのデータ収集と公開をこれまで同様に続けている。都内十二カ所の保健所の屋上などに一日置いたスライドガラスに付いた花粉の個数を、担当者が顕微鏡で数える地道な作業だ。
 高橋さんは「都の別のサイトで、過去十年間の飛散傾向のグラフ上に、今季の測定値を重ねて紹介している。今がピークなのか、終息に向かっているのか、目安が分かる」。花粉対策に向き合う姿勢は変わっていないことに、理解を求めた。
 

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