住宅火災 目立つ高齢者死亡 消防、福祉が防止へタッグ 県が企画、全域実施へ

2021年2月11日 07時55分

昨年12月、志木市であった体操教室に合わせて行った火災予防の講話=志木市で(県消防課提供)

 住宅火災による高齢者の死亡が多いことから、埼玉県消防課は福祉分野の事業と連携した火災予防啓発の取り組みを企画している。昨年末から2市で試験的に行ったところ、高齢者の反応は上々。新型コロナウイルスの感染状況を見ながら、各地で本格的な実施を目指す。 (杉原雄介)
 
 同課によると、二〇一九年の県内の住宅火災は六百二十件。死者は自殺などを除いて五十六人で、うち六十五歳以上の高齢者が三十七人と七割近くを占める。一〇年以降、住宅火災の死者で高齢者の割合は常に五割を上回り、今年に入ってからも高齢の死者が目立つという。
 同課の酒井芳弥主任は「被害に遭うのは独居や高齢者だけの世帯が多く、認知機能や行動力の低下で火災の発見や避難が遅れてしまう」と指摘。古くからの木造住宅に住んでいるケースが多く、火災警報器が未設置だったり、安全性が低い旧式の暖房器具を使っていたりすることも要因に挙げられる。
 対策にあたり、同課は「消防が単独で火災予防講演を開いても参加者が集まりにくい」として、体操教室など高齢者が集まる催しに着目。県や市町村の福祉担当に協力を依頼し、そうした催しに消防職員を派遣して火災予防を呼び掛けることにした。
 試験的な連携事業として昨年十二月から志木市と朝霞市で行われた高齢者向け体操教室に、県南西部消防本部が職員を派遣。約二十分間の講話で、寝たばこやストーブが原因の火事が多いことなどを説明した。職員がリズムに合わせて消火器の使い方を実演したり、写真を用いて火災の実例と対策を紹介したりするなど、参加者に関心を持ってもらうための工夫も凝らした。
 この二回で高齢者計約四十人が参加。志木市で行ったアンケートでは回答者全員が「改めて火災に気を付けようと思った」と答え、八割近くが講話の内容を「よかった」と評価した。同課の担当者は「参加者から『分かりやすかった』『もう少し長くやってほしい』などの声も聞かれ、想像以上の反響だった」と手応えを口にする。
 今後は新型コロナ感染防止に配慮しながら、県地域包括ケア課と連携して各消防本部や市町村に協力を要請する方針。「火災予防だけでなく、熱中症対策や自動体外式除細動器(AED)講習にも生かせそう」と構想を練る。酒井主任は「一、二月は火災が多い。寝たばこをしない、ストーブの近くに衣類や布団など燃えやすい物を置かない、コンセントの周囲にほこりがたまらないよう定期的に掃除するなど、気を付けてほしい」と呼び掛けている。

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