郵便貯金が下ろせない? 民営化前の定期性貯金、放置すると国庫へ

2018年12月12日 02時00分

満期後20年2カ月で権利が消滅する郵政民営化前の貯金証書や通帳=郵便貯金・簡易生命保険管理機構提供

 長年預けたまま放置していた銀行の「休眠預金」からお金を引き出した体験を先月九日の紙面で紹介したところ、千葉県柏市の七十代の男性から「三十一年前を最後に記帳がない郵便貯金の払い戻しはできなかった」との電話があった。あらためて調べると、二〇〇七年十月一日の郵政民営化より前につくった定期性の郵便貯金には旧郵便貯金法のルールが適用され、満期日翌日から二十年二カ月がたつと払い戻しができなくなることが分かった。 (池井戸聡)
 十年出し入れがない口座を休眠預金と定め、お金を公益活動に使う制度が来年一月一日から始まる。だが引き続き払い戻しすることはできる。運転免許証など身分証明書と、通帳や印鑑を金融機関の窓口に持参すれば引き出しができる。身分証明書があればキャッシュカードだけでも手続きが可能だ。
 郵政民営化前に預けた通常の郵便貯金もゆうちょ銀行に引き継がれており、同様に払い戻しができる。
 だが、郵便貯金には「例外」がある。民営化前に預けた「定期貯金」や、「定額貯金」(六カ月後から払い戻しできる貯金)は、満期日の翌日から二十年二カ月たつと権利が消滅し、いずれ国庫に入ってしまう。
 民営化前からの「積立貯金」や「住宅積立貯金」「教育積立貯金」も同じ扱いだ。これらの貯金には、既に廃止された旧郵便貯金法の規定が適用されることが理由。一方、民営化後のゆうちょ銀行に預けた貯金は他の金融機関の預金と同様、権利は消滅しない。
 旧郵便貯金法が制定されたのは七十一年前。総務省によると、払い戻されない定期性の郵便貯金に関しては「国は永久に管理できない」「どこかで区切りをつける必要がある」などの趣旨から、権利消滅の規定が定められたという。
 過去に権利が消滅し国庫に入った貯金は約九百億円。一七年度に権利が消えた貯金は三十三億円に上った。さらに満期から十年たっても払い戻されず、消滅の危機にある「睡眠貯金」は一七年度末で約四千五百億円に達している。自宅に古い郵便貯金の通帳や証書が眠っていないか、一度調べてみたい。

◆郵便貯金、権利消滅までの流れ

 郵政民営化前からの一部定期性貯金の持ち主には、満期から10年払い戻しがないと、それを知らせる通知が届く。さらに10年払い戻しがないと催告書が届き、それでも払い戻されないと、2カ月後に権利は消滅する。住所変更届を出さず催告書が届かない場合も、満期日翌日から20年2カ月で権利は消える。
 民営化前に「自動継続」としていた貯金の継続は民営化後の最初の満期日まで。その後は継続されず、定期貯金としての金利は適用されなくなる。一方、満期が過ぎた貯金でも満期から10年以内に貯金について住所変更をしていれば、その日に満期日がずれ、20年2カ月を超えていても払い戻しができる場合がある。

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