<社説>コロナ接触確認アプリ「COCOA」不具合放置は「お粗末」では済まない

2021年2月12日 08時03分
 またか、という厚生労働省の失態だ。新型コロナウイルス陽性者との接触確認アプリ「COCOA(ココア)」で、通知が届かない不具合が放置されていた。原因究明と再発防止で信頼を取り戻すしかない。
 ココアは、陽性登録者と一メートル以内で十五分以上接触をした利用者に通知が送られるスマートフォンアプリ。政府が感染拡大防止の重点施策の一つとして昨年六月から配信を開始し、約二千五百万人が利用している。
 このうち三割強、約七百七十万人に昨年九月末から接触情報が送られていなかった、という。アプリを修正した際、一部の基本ソフトの仕様に適合しなかったとみられる。
 アプリに不具合が生じるのは仕方ない。問題は重大な欠陥が四カ月以上も放置されたことだ。
 技術者が利用するネットサイトでは、昨年十一月にココアのプログラムミスが指摘されていたという。年明けには「家族が感染したのに通知が来ない」などとSNSに投稿されるようになり、一月下旬になってようやく、業者から厚労省に不具合が報告された。
 厚労省側が気付かなかったのはアプリの開発も保守管理も業者に丸投げしたからではないか。今月中旬の復旧を目指すというが、業者の選定、監督に問題はなかったのか、徹底的な検証が必要だ。
 何より、ココアの機能を信じてきた利用者を裏切ったことは深刻だ。人口の約二割の普及率は十分ではなく、さらに普及拡大が必要な中での背信行為は痛手だろう。
 個人情報の収集、利用に議論はあるものの、韓国や台湾では感染対策へのアプリ活用に一定の支持があり、効果も得られている。
 ココアが正常に機能し、陽性者との接触が通知されていたら、大都市圏中心に緊急事態宣言が再発令された要因となった年末年始の感染急増も、一定程度は防げたのかもしれない。
 菅義偉首相は、厚労省の対応を「お粗末だ」と認めたが、問題の深刻さを理解しているのか。徹底した原因究明と対策を講じようとの意欲は見えない。
 今月中旬から予定されるコロナワクチン接種では、大規模な個人情報管理が必要となる。ココアを巡る対応を見ると政府のデジタル政策は信頼が置けるのか疑問が生じる。
 「国全体のデジタル化」は、菅政権にとって重要政策のはずだ。国民の命と暮らしを守るためにデジタル技術をどう活用するのか、菅内閣全体でいま一度気を引き締める必要がある。

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