【五輪組織委・会見Q&A】後任人事に政府からの働き掛けは?「私自身にはない」と武藤事務総長

2021年2月12日 21時19分

東京五輪・パラリンピック組織委の理事会と評議員会の合同懇談会を終え、記者会見する武藤敏郎事務総長=12日午後、東京都中央区(代表撮影)

 12日に行われた東京五輪・パラリンピック組織委員会の合同懇談会後、会見した武藤敏郎事務総長と記者とのやりとりは以下のとおり。

◆森氏の引き留めは「大勢の意見を伝えた」

Q 後任選考のリミットはいつごろなのか。新しい会長に求める資質は。
A 選考手続きは具体的な数字は申し上げかねるが、とにかくできるだけ早くやりたいと思っている。新しい会長の資質は、まさに選考委員会で議論されるものと思っている。こういう状況での交代なので、やはりオリンピック、パラリンピックについて何らかの今までのご経験もまず必要だろうと。時間がたくさんあれば段々と学ぶ、経験を積むことも可能だが、残り5カ月というゆとりがないタイミングなので、そういうことが1つあろうかと思う。それからやはりジェンダーイコーリティ、ダイバーシティ、インクルージョンという概念をわれわれは当初から掲げてやってきたつもりだが、これで十分だということはない。そういうことについての認識が非常に高い、というのも必要ではないかと思う。
Q 川淵さんが後任という話で組織委、東京都などと一定の合意があり、了解が得られているという話だった。一転白紙になった経緯は。IOCからのクレームなのか、政府からの意見があったのか。
A 関係者の了解があったのではないかという点については、私はそのように了解しておりません。色々多少の誤解というか、行き違いがあったのかもしれませんが、そういうことではないと思っている。自然の成り行きとして、どうしてそういう結論になったのかが不透明でありますので、このような結果になったのではないかと理解しています。
Q 森会長は武藤さんに辞任を引き留められたと。引き留めた理由は。事務総長から発言の問題点などを話したのか。
A 会長の辞意を引き留めたと言われているが、個人的な意見を述べたつもりはありません。今日とあの時点でだいぶ状況が違ってきたと思う。会長がそういうことを言われたあの時点では、私の元には多くの関係者から、ここで会長が辞めることになると、準備に非常に支障が生じるのではないか、会長の経験、国際および国内のスポーツ、政治関係の人脈が重要であって続投が望ましいという意見が寄せられて参りました。そういうことを私は申し上げました。2人の間のやりとりなので具体的に申し上げるのは差し控えるが、今言ったような趣旨で申し上げた次第です。
Q その時点で辞任される必要はないと総長も思ったのか。
A 大勢の皆さんの意見を伝えるというのが私の使命だと。個人的に辞めるべきではないとか言うのは、いかがなものかと思った。大勢の皆さんの意見をお伝えしたということ。

◆川淵氏の後任説「私の知る限り組織委で議論はない」

Q 川淵さんを起用しようとした動きについて、政府から見送るように働きかけがあったのか。
A 私の理解では、私自身にはそういう働きかけあったわけではない。私の理解では、後任会長は組織委員会で決めるべきことというのが、政府の基本的な態度であったと理解している。
Q 森さんから後任の要請があったと川淵さんは明言していたが、組織委の中の何人で人事を決めたのか。辞める人が後任を決めることには批判が多いが。
A 川淵さんが会長に、という話をどのような経緯でやったのかは、私の理解する限り、具体的に組織委員会の中で議論したということはない。私は会長の選任というのは、定款にはっきり手続きが決まっていて、理事会において選任するということなので、それ以外の何か、誰かが決めるということは前提となっていないと理解します。今回、私どもは透明性と申し上げましたが、理事会の中で選考委員会をつくって、定款に従った選定手続き、これ以外に選考の手続きはあり得ないと理解しています。
Q 女性蔑視発言について森会長は解釈の問題だと。武藤事務総長はどの点で問題と考えるか。
A 私は解釈の問題ではなく、趣旨は、発言の内容はきわめて不適切なものであると認識しています。会長のお気持ちというのは色々あると思うが、発言はいったんそれを口にすればそれとして理解されるものなので、どういう思いかではなく、発言そのものが適切だったかという点で考えるべき。

◆川淵氏の件は「メディアの方から聞いた」

Q 女性の比率を増やすことに関して、時間軸は。比率の目標数値はあるか。
A 女性比率を増やすということは、方向としては正しいご意見だと思うので、その方向で実行したいと思います。こういう話は組織委員会が判断して組織委が行動すればできるので、ぜひそれを実行していきたい。具体的にいつまでにと申し上げるのは困難だが、できるだけ早く行いたいと思いますし、次の理事会3月22日に予定されているので、それに間に合うように行動していくことが望ましいと思う。
Q 会長候補者は何人ぐらい立てるのか。
A 検討委員会を立ち上げるということなので、具体的なことはまったく決まっておりません。1人の候補者を選定するのが望ましいと思いますが、実際に検討委員会をやってみないと何とも申し上げられない。
Q 武藤事務総長は川淵さんの後任就任をどのように把握して対応したのか。
A 川淵さんというのは、メディアの方から聞きました。しかも川淵さんの映像が映っていて、おっしゃっていることが確認できる形だった。これは縷々るるご説明したような手続きになるということを、ご存じだとは思うが、念のためにこういうことですと申し上げる必要があると思った。それが電話した理由です。

◆森氏の今後「現時点では話出ていない」

Q 今後、森会長は役職に就いたり関わっていくのか。冒頭で辞意を表明されたが、この記者会見に出てこない理由は。
A すでに辞任、いくつか記者会見というかメディアで説明されました。今回は辞意の表明といことで、大勢の前ではっきりおっしゃったので、それで十分だとご判断になったんだと思います。辞任した後、何らかのポストに就くのかだが、現時点ではそういう話は出ていない。
Q 五輪憲章と相容れないトップが辞任するという前代未聞の不祥事。公人である森さんが、就任時は大々的に記者会見して、今回は冒頭で説明し、記者からの質問を受け付けないのは、公的な法人として説明責任を果たしていない。そもそも森会長が就任した時点で、五輪憲章をお読みになっているのか。
A 会長就任時に憲章を読んだかどうかは、なんとも申し上げかねる。そういうことをうかがったことはありませんし、必要があれば何らかのかたちで会長がお述べになることだと思う。私どもは同時に就任したので、会長をお迎えしたのではなく、一緒ですから。
Q 森氏は院政で影響力を残すのではないか。検討委員会の委員長に御手洗会長が選任されたプロセスは。
A 理事会の名誉会長として一緒にやって参りました。会長の職務がどういうものかよくわかっている方、われわれは御手洗会長が適任であると判断した。その上で御手洗会長にお受けいただいたと、ありがたいことだと思っている。

◆会長選考に性別を議論する必要ない

Q 会長に必要な資質として、オリンピック、パラリンピックの経験、ジェンダーイコーリティに見識のある方ということだが、橋本聖子五輪担当大臣など、一般論で当てはまる方はいるか。
A 私から直接お答えするのは適当ではないと思う。きわめて一般的な話。これを満たすような方は、大勢とは言わないが、いろいろおられるのではないかと思う。
Q 今日の会議で具体的に候補となる人の名前が挙がったか。
A まったく挙がっていない。今日の段階ではそういうことをする場ではない、あくまで手続きを決めるということ。
Q 女性がふさわしいか、個人としてどう考えるか。
A 私は会長の選考に当たって性別を議論する必要はまったくないと思う。適任者を選ぶと。それに尽きるのではないか。
Q 辞任は遅きに失したという指摘もある。
A 2月の初めにこういう話になり、そんなに時間たっていない。遅きに失したとは思っていない。
Q 構造的な問題。選考委員会のプロセスだけでなく組織のガバナンス、意思決定の透明性をどう確保するか。
A 今回の発言の不適切さという問題に関連して、組織委員会の問題も指摘されました。それは重く受け止めたいと思う。いろいろなことをおっしゃる方がいるが、1つ1つに反論というかコメントする必要はないと思うが、組織委員会のガバナンスは非常に重要なことであり、我々はこの7年余り、ガバナンス、コンプライアンスを組織の一番重要な問題点としてやってきた。最大限の努力をしてきたつもりだが、引き続きその観点で注意深く運用していきたい。

◆森氏の支援が望ましいと言う人もいる

Q 森さんの今後、まだポスト決まっていないということだが、相談役という報道も。森さん本人は何らかの点で残るつもりなのか。何らかのかたちで残っていただきたいとお考えか。
A 組織委員会の役職に残るという記事を拝見した。それが出てきた理由はあるのかもしれないが、現在われわれはそういうポストの問題を議論している状況ではない。一方で森会長がオリンピック招致の段階、準備の段階に多くの貢献をされたのは事実だと思います。森会長によっていろんなことが実現したのは、客観的に見てあると思う。ただIOCも、森会長がオリンピック、パラリンピックに対して引き続き、ポストに就くという意味ではなく、ご支援をいただくことが望ましいと言っている方もいる。いろんな議論があるので、検討しながら適切に議論していくことになる。既定路線のように言われているが、そんなことはない。
Q 妨げになってはならないから辞任すると。理由は発言そのものではないということだが、どう受け止めるか。
A ご迷惑をかけたと言っているのは何度もお聞きしました。自分の発言が問題なく、と解釈するのは、解釈のしすぎだと思う。反省して撤回するとまでおっしゃっているのだから、十分に問題だという認識を持った上で、五輪に悪影響があってはいけないと。そう私は素直に解釈している。
Q 多様性を主題の1つにした東京大会の実現で、日本社会にどんな変化を残したいと考えるか。
A われわれは東京大会のビジョンをつくるときに、多様性、インクルージョン、その中での多様性を認めた上での調和をどうするかと、そういうビジョンを設定した。日本社会は、もちろん多様性についてある程度開かれた、寛容のある近代社会になっているとは思うが、それは日本のスタンダードで見るとそうだが、世界のスタンダードで見るとまだ十分ではないという意見もある。このオリンピック、パラリンピックを契機に、より開かれた日本社会、よりインクルーシブな社会をつくるというのを理念に掲げた。世界との比較で、日本がどのあたりの位置にいるのかは色々議論があるが、オリンピックだけで解決するとは思っていない。われわれの与えられた範囲内で貢献するということで、チームを立ち上げたい。

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