<しみん発>診察室飛び出し地域へ

2021年2月13日 07時31分

乳幼児と保護者を対象に開いた親子交流会。「つむぎて」の保育士がメインで担当した=埼玉県越谷市で(子育て支援チーム「つむぎて」提供)

 子育ての不安や悩みに寄り添い、診察室だけではなく、地域で直接支援できないか。そんな思いから、小児科医の吉岡淑隆さん(39)が医療や保育にかかわる有志とともに、埼玉県越谷市内で子育て支援チーム「つむぎて」を立ち上げた。小児科クリニックに併設する病児保育室の今秋開設も目指し、準備を進めている。 (大沢令)
 東京都世田谷区の小児科クリニックに二〇一五年から勤務し、区内で病児保育や産後ケアなどにかかわった。
 「子どもをかわいいと思えない」「怒鳴ってしまった」。母親たちの子育ての悩みに耳を傾け、各家庭の事情などにも気を配った。
 中には虐待が疑われ、介入が必要な事例も。「外来で待つだけでは子育てのSOSは見えてこない。地域に根差しながら子育て支援にかかわることができないか」。一九年に地元の埼玉県越谷市内で、志を共にする小児科医の妻や看護師、助産師、保育士ら六人で子育て支援チーム「つむぎて」をつくった。
 チームは地域の子育て支援グループなどと協力し、保護者向けのオンライン講座や体験会などを毎月のように開催。子育ての情報を積極的に発信して支援する取り組みを続けている。「冬のこどものホームケア」「赤ちゃん&こどもwithコロナの過ごし方」など、診察室ではじっくりと聞けないようなテーマも分かりやすく解説する。
 今秋には市内で病児保育室の開設も目指している。急な発熱などを起こした子どもを一時的に預かり保育、看護する。コロナ禍で利用控えがあるとはいえ、仕事と育児の両立に必要なセーフティーネットとして共働きやひとり親世帯に潜在的なニーズは高いが、市内には現在一カ所しかない。
 病児保育施設の大半は赤字経営だという。そこで運営資金は年会費や寄付、企業の協賛金で確保し、地域の支援を受ける仕組みを模索。補助金に頼らない新たな運営モデルを目指し、昨年行ったクラウドファンディングでは五百万円以上の寄付が集まった。
 経済的に苦しいひとり親も多いことから、年会費を抑え、将来的には無料化を目指す。吉岡さんは「子育て支援団体と地域で連携し、時代のニーズに応えられる子育てステーションをつくりたい」と未来を描く。

子育て支援チーム「つむぎて」代表・吉岡淑隆さん(39)

<よしおか・としたか> 1981年、東京都生まれ。子育て支援チーム「つむぎて」代表。世田谷区の小児科クリニック副院長。今春、埼玉県越谷市内に「つむぎこどもクリニック(仮称)」を開業予定。同市在住。
 ◇ 
 「しみん発」は今回で終了します。

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