森氏後任人事 社会の在り方変えねば

2021年2月13日 07時53分
 東京五輪・パラリンピック組織委員会の会長後任人事が白紙に戻った。女性蔑視、意思決定や人事の不透明さなど国際社会に通用しない組織の在り方と決別しなければ、大会開催の資格はない。
 女性蔑視発言で辞任を表明した森喜朗氏の後任には日本サッカー協会元会長の川淵三郎氏が浮上し川淵氏も受諾の意向を示したが、選定過程の不透明さが批判され、選考委員会を設けて一から議論する方向となった。
 看過し得ないのは森氏が川淵氏を実質的に「後継指名」した経緯だ。批判を受けて去る森氏が、気心の知れた友人に禅譲するなど、国内外の世論もスポーツ界も到底、納得できるものではあるまい。
 川淵氏も森氏を相談役に就ける意向を早々と表明するなど、発想が民意と大きくずれており、見識を疑われても仕方がない。
 国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が女性の共同会長を置く案を提案したが、森氏が拒否したという。女性の任用に最後まで後ろ向きな姿勢には、あきれるばかりだ。
 森氏の女性蔑視発言を機に、森氏個人や組織委の問題点が次々と噴き出した。ただ、それらは日本社会にも同様に残る深刻な課題であることも、あらためて認識する必要がある。
 「性の平等」は、国際的に見て遅れが著しい。社会の指導的地位に就く女性の割合を「二〇二〇年までに30%」とする国の目標は達成できず「二〇年代に30%程度」と先送りされた。
 海外では、一定割合の女性を任用する「クオータ制」や男女同数にする「パリテ」が進んでいる。
 また、開かれた場での民主的な議論より、根回しや密室での意思決定を尊ぶ風潮は政界や会社など日本の至る所で見られる。権力者の独善を是認するシステムだ。
 組織委の抜本的な出直しは当然としても、森氏の発言や組織委の対応の背景には、日本社会の因習があることを見過ごしてはならない。一掃しない限り、組織や社会が真に活性化し、国際的に通用することはないだろう。
 振り返れば森氏に加え、大会招致を主導した安倍晋三首相、東京都の猪瀬直樹知事、日本オリンピック委員会の竹田恒和会長ら当時の責任者全員がスキャンダルにまみれ、表舞台を去った。
 新型コロナウイルス感染拡大の影響も深刻だ。今の日本に大会を開催する余力や資格があるのか、問い直すべき時に来ている。 

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