辞任劇に影響与えた米国のボイコフ教授、森発言を批判「組織委を男性のみの同窓会とみなしていた」

2021年2月14日 06時00分

ジュールズ・ボイコフ教授

 【ワシントン=岩田仲弘】「森喜朗氏(83)は去らねばならない」。米国内で東京五輪の独占放送権を持つNBCテレビがウェブサイトに載せたオピニオン記事は、女性蔑視発言による森氏の東京五輪・パラリンピック組織委員会の会長辞任に大きな影響を与えた。寄稿した米パシフィック大教授(政治学)のジュールズ・ボイコフ氏(50)は12日、本紙の取材に「森氏の発言は五輪に深く根づいた性差別の問題をさらけ出した。国際オリンピック委員会(IOC)もこれを機に不公正の是正に取り組むべきだ」と訴えた。

◆「真剣に考えていたら80代男性を指名しない」

 ボイコフ氏は、川淵三郎・日本サッカー協会元会長(84)に当初、後任を要請した森氏について「性差別撤廃を真剣に考えていたら同じ80代男性を指名しない。自分たちの利益や経験を超えたビジョンがなく、変化に向けてかじを切れない。組織委を男性のみの同窓会(OB会)とみなしていた」と批判した。
 森氏の後任には「女性が望ましい」とする一方、「五輪は新型コロナウイルスの感染により、実施がかなり難しくなってきている」と指摘。「極めて不公平だが、中止を決断した場合、性差別社会が新しい指導者に責任を背負わせるのは容易に想像できる」と懸念も示した。

◆「IOCも性差別にドップリつかっていた」

 ボイコフ氏は、森氏が4日に「深く反省して発言を撤回したい」と述べた際、「問題は終わった」との見解を示したIOCも批判。「対応が後手に回ったのは、IOC自身が長く、性差別にドップリつかっていたからだ。女性が初めてIOC委員に選ばれたのは1981年。今でも女性は全体の3分の1にすぎない。スキーのジャンプ女子も(子宮に悪い影響があるとして)2014年まで導入しなかった」と指摘した。
 IOCに強い影響力のあるNBCに寄稿した理由を「親しい編集者がいたからだ」と説明。「(NBCの)影響力を考慮はしたが、社の幹部など知り合いの編集者以外の人とは一切接触していない」と述べた。
 ボイコフ氏は、米五輪代表にも選ばれたことがある元プロサッカー選手。90年代に来日し、サッカーJリーグの清水エスパルス、ガンバ大阪と対戦したこともあるという。

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