ターナーが描いた橋 土屋武之さん

2019年8月6日 02時00分
 山下達郎さんの「ターナーの汽罐(きかん)車」の歌詞に出てくるイギリスの画家ジョゼフ・ターナーの絵とは、「雨・蒸気・速度-グレート・ウエスタン鉄道」であると、山下さんはインタビューで語っている。
 描かれているグレート・ウエスタン鉄道(GWR)の橋梁(きょうりょう)は、ロンドンの西でテムズ川を渡るメイデンヘッド鉄道橋=写真=とされる。1839年に開通したれんが積みの橋を設計したのは、GWRの主任技師で、産業革命期の最も偉大な技術者とたたえられるイザムバード・キングダム・ブルネルだ。
 彼の発案で、GWRは2140ミリという非常に広い線路幅を採用した。しかし、この「超広軌」はあまりに画期的にすぎ、後に国際標準軌となる1435ミリとの優劣論争に敗れて92年限りで消えた。はるか後世の日本の新幹線も、標準軌である。ただ、GWRの社名は2015年に復活し、先駆者の功績がたたえられた。
 メイデンヘッド鉄道橋などブルネルの遺産の多くは、今も現役の施設として残る。ロンドンのナショナル・ギャラリーが所蔵するターナーの絵のようなアングルで橋を眺めることは、現在では難しい。あるいは、これは画家の想像の産物なのか。

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