「葉っぱのフレディ」命吹き込む 柏市の演奏会きっかけ 宇崎竜童さん朗読のCD 森繁久弥さん以来20年ぶり発売

2021年2月16日 06時31分

朗読した宇崎竜童さん(左)と伴奏したピアニスト徳川真弓さん=東京都港区南青山で

 「『いのち』というのは 永遠に生きているのだ ということでした」。童話「葉っぱのフレディ」のメッセージが、多くの人が命について思いを巡らせるコロナ禍の今、よみがえった。約20年ぶりに発売された新録CDで朗読を担当したのは歌手で俳優の宇崎竜童さん(74)。渋い声音で優しく語りかけ、生きることの意味を問い掛ける。
 原作は、米国の教育学者レオ・バスカーリアさん(一九二四〜九八年)が著した絵本。春に生まれたフレディが、冬に散り、土に返るまでを描く。生と死に向き合うフレディの姿が、子どもから大人まで共感を集め、日本でもベストセラーに。一九九九年には故森繁久弥さんが朗読し、雅楽奏者の東儀秀樹さんがバックミュージックを奏でたCDが制作されてヒットした。
 CDが再び世に出ることになったきっかけは、千葉県松戸市在住のピアニスト徳川真弓さんが昨夏、隣接する柏市の文化ホール担当者から、コンサートを依頼されたことだった。徳川さんは「葉っぱのフレディをやってみたい」と森繁版のCD制作に携わった音楽プロデューサー仙波知司さん(70)に相談。仙波さんは「私にとって思い入れが強い作品。コンサートを開くならCDも出そう」と考えた。

大好評だったコンサート。左からピアノの徳川さん、シンセサイザーの井上さん、朗読担当の宇崎さん

 徳川さん、仙波さんと、CDの音楽を手掛けた作曲者の井上鑑(あきら)さんが打ち合わせる中で、朗読者の候補として浮上したのが、宇崎さんだった。仙波さんは言う。「女性にお願いしようとも考えた。宇崎さんの名が出たとき、森繁さんとは全く違うが、これはいけると。さまざまな生き方をしてきて『自分の言葉でしゃべれる』人だから」
 宇崎さんといえば「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」をはじめ、ロックの印象が強い。宇崎さん自身も「当初はなぜ、僕のところにこの話が来るのかなと思った」と振り返り、「作曲にインスパイアさせるため、高校生の作文を読むことはある。ただ子どもに聞かせたい物語を朗読するのは初めて。自分の幅も広がるし、やらせてもらうことにした」と語る。
 年齢を感じさせない若々しさと「やんちゃ」な雰囲気を漂わす宇崎さんだが、最初の朗読者が森繁さんと知って「たじろいだ」と明かす。「自分が読めなくなるかもしれないとCDは聴いてない。井上さんの曲と徳川さんのピアノの魅力に後押しされてできたようなもの」。今も森繁版を聴けていない。「うわー、聴いとけばよかったな、やっぱり出るんじゃなかったな、と後悔するかもしれない」
 宇崎さんの謙遜と裏腹に、昨年十一月の柏でのコンサートは大好評。本番前のリハーサルで録音した音源がCDになった。

千葉県柏市のコンサートのリハーサルで朗読をする宇崎さん=いずれも仙波知司さん提供

 徳川さんは「悲しいところもある物語だけど、宇崎さんが語ると、さわやかな明るさを感じる」と、柏発の新CDの魅力を解説。かつて気落ちしていたとき、森繁版に出合って救われた体験が、この企画につながっているという。「コロナ禍で世界中が生死について考えている今、元気づけるようなメッセージが伝われば」
 ◆CDは今月10日発売。2200円(税込み)。問い合わせはディスク クラシカ ジャパン=電03(3423)2340=へ。
 文・堀場達/写真・佐藤哲也
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