性のあり方「自分ごと」に 葉山町の広報が多様性特集 県コンクールで最優秀賞

2021年2月16日 07時13分

「市民から『おめでとう』とメールが届いた」と話す河野さん=葉山町役場で

 「性のあり方」を特集した昨年12月の広報葉山が、県の広報コンクールの広報紙・町村部門で最優秀賞に選ばれた。同性カップルなど当事者に加え、職員や民生委員、小学生など総勢15人が登場。「誰もがありのままで生きられるまち」に、町ぐるみで取り組む姿勢を伝えている。 (石原真樹)
 夕映えにそびえる富士山を背景に、防波堤の上に並ぶ二つのシルエット。波穏やかな森戸海岸の写真に、「男女カップルが当たり前?」と心をざわつかせる言葉を添えた。受賞した広報の表紙だ。特集を担当した政策課広報係の河野香織さん(34)は「え? 何? と考えてもらうのが狙いです」。
 特集は全八ページ。同性カップルへのインタビューでは、近所に「親戚同士」で通していることや、町が昨年七月に導入したパートナーシップ制度で宣誓した際に町長や職員から「おめでとう」と祝福され、うれしかったエピソードを紹介。「ごく普通の家族で、とても幸せ」との思いを伝えた。

中学校の制服をスカートかスラックスか選べることを紹介したページ

 ほかに、「結婚しないの?」「男なんだから!」などの言葉が誰かを傷つけるかもしれないことや、性別によらず中学校の制服をスカートかスラックスか選べる町の取り組みを取り上げた。最後のページは色とりどりのランドセルを手に笑顔の子どもたちの写真を載せ「誰もがありのままで生きられるまちで一緒に生きていこう」と結んだ。
 編集に当たって河野さんは性的少数者を示す言葉「LGBTQ」をなるべく使わないよう心掛けたという。LGBTQが指すのは性的少数者の一部にすぎず、また、性のあり方は特定の人の問題ではなく誰にでも関係があると伝えたかったからだ。「性の悩みを周囲に言えずにいる人や自分自身も認められない人、子どものことを認められない親もいるかもしれない。自分ごととして考えてもらうことを大事にした」と話す。
 河野さんは二〇一〇年に入庁し、二度の産休・育休を挟んで九年近く戸籍を担当した。名前や性別を変更する手続きをする機会があり、小さな町にも当事者がいることを知る一方で「どう声をかけたらいいんだろう」と戸惑った。
 この経験が、一九年に異動し、広報係になって初めて手掛けた今回の特集につながった。同町はコンクール受賞の常連で、受賞は三年連続、近年七年間で六回目となり「プレッシャーはあり、ほっとしている」。次は子ども関係のテーマを考えているという。

何げなく口にしたとしても、誰かを傷つけるかもしれない言葉を取り上げたページ


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