薬買ったら 節税チェック セルフメディケーション税制  

2021年2月16日 07時15分
 コロナ禍に見舞われた2020年。感染リスクなどを考え、医療機関を受診せず、薬局などで買える市販薬を活用した人も多いのではないか。そんな人はきょう16日から始まる確定申告で、「セルフメディケーション税制」を使えば、税の負担が軽くなる可能性がある。(植木創太)
 二月上旬、花粉症の季節に備え、薬局で飲み薬を買った名古屋市の男性会社員(34)。レシートを見ると、印の付いた薬があった=写真。セルフメディケーション税制の対象薬だ。

◆1万2000円超対象

 税制は一七年分の確定申告から始まった医療費控除の特例。対象の市販薬を年に一万二千円を超えて購入すると、超過分が課税所得から差し引かれ、所得税や住民税の負担が減る制度だ。原則として一年間の医療費が十万円を超えた場合に利用できる通常の医療費控除との併用はできない。
 対象は現在、千八百製品ほど。「スイッチOTC医薬品」と呼ばれる医療用成分を含む薬で、成分名としては鎮痛剤のイブプロフェン、抗炎症薬のインドメタシンなど。対象かどうかはレシートの印や、包装などにある「税控除」と書いたマーク、厚生労働省のサイトでも知ることができる。
 例えば、課税所得が五百万円の人が年間五万円分を購入した場合。税理士の藤村伸介さん(62)によると、基準の一万二千円との差額三万八千円に税率(20%)を掛けると、減税効果は七千六百円。税率が原則10%の個人住民税額も三千八百円減る。

◆書類管理意識を

 課税所得から差し引く控除額の上限は八万八千円。所得税の税率は課税所得によって違う。生計が同じなら、誰が申告してもいいため、税率が高い人が申告した方が得だ。所得が二百万円以上で、対象薬の購入を含む医療費の総額が十万〜十八万八千円になる場合は、対象薬の購入額次第で、通常の医療費控除より特例を使う方が減税効果の大きい場合がある=表。
 特例は、自分で積極的に健康管理をする人を増やすのが目的。申告には、買った薬のレシートに加え、勤務先の健康診断や自治体のがん検診などを受けた証明も必要だ。藤村さんは「制度の利用には、書類を残すなど、日ごろから医療費を管理する意識が大切。それは健康維持や体のケアにも結びつく」と呼び掛ける。

◆安全な服用 薬剤師に相談

 英語で「自主服薬」といった意味のセルフメディケーションは、世界保健機関(WHO)が1998年から提唱する。「自分の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」と定義される。
 自ら健康を管理する意識が高まれば、生活習慣病の予防や病気の早期発見につながり、結果的に国民医療費が抑えられる。過剰な医療機関の受診も減り、限られた医療資源を有効に使うことにもなる。国が優遇税制を設け、取り組みを促すのはこのためだ。
 ただ、医師の処方によらず、医療用成分を含む薬が買えることは、思わぬ副作用を招くリスクも。名古屋市立大薬学部教授の鈴木匡さん(62)によると、市販薬を購入する際は、薬剤師に体質や既往症などを伝え、助言を求めると安心。「なぜ売り場に専門家がいるかを理解し、積極的に相談してほしい」と訴える。

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