愛知県知事リコールの署名偽造、アルバイト動員か 広告下請け会社が求人 佐賀市で作業

2021年2月16日 17時25分

名簿を書き写すアルバイトの関連ウェブサイト。募集内容や勤務条件が載っている=一部画像処理

 愛知県の大村秀章知事のリコール(解職請求)に向け、美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長らが同県選挙管理委員会に提出した署名簿に、偽造が疑われる大量の署名が含まれていた問題で、多数のアルバイトが、愛知県民らの名前や住所が書かれた名簿を、リコール活動団体の署名簿に書き写していたことが分かった。名古屋市の広告関連会社の下請け会社が、大手人材紹介会社(本社東京)を通じてアルバイトを募集。佐賀市内の貸会議室で書き写させていた。
 関係者によると、署名簿には、高須院長や活動を支援した河村たかし名古屋市長の写真が載っており、活動団体が利用していた署名簿と同じだった。昨年10月の複数の日に、大勢のアルバイトが1人当たり数時間~十数時間ほど、時給950円で参加した。広告関連会社は、どんな経緯で下請け会社が仕事を受注したか内部調査を進めている。
 広告関連会社はリコール活動団体に協力を申し出て、活動への参加を呼びかけるはがき配布を、名古屋市内の下請け会社に委託していた。同社の幹部は取材に「全容解明に向けた調査を進めているが、現時点では、弊社が名簿の書き写しに関与した事実はなく、下請け会社が独断で実施した。警察が捜査をするならば、全面的に協力をしたい」と話した。
 大手人材紹介会社は全国展開しており、九州にも営業拠点がある。取材に「発注を受けてアルバイトを募り、紹介しただけだ。業務の詳細は、事前に知る立場になかった。現在、事実関係の確認を進めている」と答えた。
 高須院長らは2019年に愛知県内で開かれた国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」の展示内容を問題視。実行委員会長だった大村知事のリコールを求め、昨年8月下旬から2カ月間、署名を集めた。県選管に提出した署名は43万5334筆で、住民投票に必要な約86万6000筆に届かなかった。
 その後、勝手に名前を書かれたなどの指摘が相次ぎ、県選管が調査したところ、提出署名の83・2%に当たる36万2187筆が無効と判断された。
 これら無効な署名のうち約90%が複数の同一人物によって書かれたと疑われる署名で、選挙人名簿に登録されていない人の署名も約48%あった。既に死亡している人の名前も書かれていた。

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