修学旅行を軌道に 土屋武之さん

2018年11月13日 02時00分
 修学旅行は日本独特の学校行事だ。その歴史は古く、戦後間もない昭和20年代の苦しい時代にも盛んに行われていた。けれども当時の鉄道事情は劣悪で、子供たちは定期夜行列車に一般客と一緒に詰め込まれた。4人掛けボックスシートに6人掛けさせられたとか、添乗員は居場所がなく洗面所に座り込んでいたなどの話も普通にあった。
 「臨3311に乗れ」は、城山三郎得意の経済小説の一つで、現在の近畿日本ツーリストの前身「日本ツーリスト」創業期の物語だ。この会社はまず、大手旅行会社が熱心ではなかった修学旅行団体に活路を見いだしている。使われていない車両に目をつけ「子供のために」と国鉄と交渉し、修学旅行専用列車に仕立て上げたりもした。臨3311とはそうした列車の1本。入社面接を受けにきた大学生が、その日のうちに学校団体の世話に放り込まれるところから、ストーリーが始まる。
 同社の努力は次第に実を結び、昭和30年代に入ると修学旅行向け仕様の専用電車も登場。現在は数校の団体をまとめて送り迎えする「集約臨」=写真=が特急型車両で運転されたり、新幹線にも修学旅行専用列車が走ったりと、隔世の感がある。

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