ロシアが「ワクチン外交」で輸出攻勢 英科学誌が「有効性91%」とお墨付きから人気急上昇

2021年2月17日 06時00分
ロシアが開発した新型コロナウイルスのワクチン「スプートニクV」=モスクワ通信社

ロシアが開発した新型コロナウイルスのワクチン「スプートニクV」=モスクワ通信社

 【モスクワ=小柳悠志、パリ=谷悠己】ロシアが新型コロナウイルス感染症ワクチン「スプートニクV」の売り込みを拡大させている。英国の医学誌が今月、効果を確認したとする結果を掲載したことが追い風になった。ワクチン供給を外交の材料にしようと、途上国に加えて野党指導者ナバリヌイ氏を巡る問題などで対立する欧州連合(EU)にも触手を伸ばしている。
 ロシアは昨年8月、自国で開発したスプートニクVを新型コロナワクチンとして世界で初めて承認。当時は最終段階の治験を終えておらず、「安全性より国家の威信を優先している」と国内外で疑念の声が上がっていた。
 だが、英誌ランセットが今月2日、「最終段階の治験で91.6%の有効性が確認された」とする記事を掲載すると、早々に導入を決めていたハンガリーに加え、旧共産圏以外の欧州諸国でもスプートニクVへの関心が急上昇した。

◆ナバリヌイ氏問題で対立するEU諸国も注視

 フランスのマクロン大統領は2日のテレビ番組で「ロシア側の科学者との意見交換で好感触を得ている」と発言し、導入の可能性を示唆。EUのボレル外交安全保障上級代表はナバリヌイ氏問題の協議で訪ロ中の5日、記者会見でスプートニクVの開発を「人類にとっての朗報」とたたえた。
 ロシアのワクチン事業に関わる政府系ファンドのドミトリエフ総裁は2日の国営放送で「パンデミック(世界的大流行)との闘いでわが国は重要な役割を果たす。批判してきた人々は敗北を認めざるを得ない」と勝ち誇った。
 供給先はアルゼンチンやイランなど中南米や中東も含めて20カ国以上に広がる予定で、クーデターが起きたミャンマーなど軍事的に関係が深い国も含まれる。国外での販売価格は1回分が10ドル以下で「他国製ワクチンより安い」(ドミトリエフ氏)。スプートニクVは2回の接種が必要だが、1回で十分な効果が出る「スプートニク・ライト」の開発も進めている。

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