天然ガスを売りたい国

2021年2月17日 07時24分
 中央アジアの天然ガス大国トルクメニスタンからアフガニスタンを経由し、パキスタン、インドにガスを供給するTAPIパイプライン敷設構想。全長千八百キロに及び、総工費は百億ドルともいわれる巨大事業だ。
 トルクメン産ガスの輸出先はほぼ中国だけで、トルクメンは価格交渉で不利な立場にある。この状況を打開するには販路の多角化が必要なだけに、TAPIの実現はトルクメンの悲願だ。ところが、戦火のやまないアフガン情勢が障害となり、一九九〇年代に構想が持ち上がったきりほとんど進んでいない。
 そのトルクメンにとっては一筋の光明が差し込んだ思いがしただろう。今月、アフガンの反政府武装勢力タリバンの代表団が来訪し、TAPIは「アフガンに和平と経済発展をもたらす」として全面支援を約束したのだ。
 とはいえ楽観は禁物だ。トランプ前米政権がタリバンと交わした和平合意の雲行きが怪しくなってきたからだ。バイデン政権では、五月までにアフガン駐留米軍を完全撤収させるという和平合意の見直し論が勢いを増している。
 トルクメンは先月、カスピ海の対岸に位置するアゼルバイジャンとの間で、海底油・ガス田を共同開発することで合意した。ゆくゆくは欧州市場へのガス供給を目指す。外へのアクセスを渇望する“陸封国”のトルクメンは、西に東に触手を伸ばす。 (青木 睦)

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