「切り札」ワクチン接種、欠かせぬ情報提供 不安払しょく「リスク上回るメリット」<新型コロナ> 

2021年2月18日 06時00分
 米ファイザー製ワクチンの接種が17日に始まった。先行接種をする医師ら2万人が毎日の健康状態を記録し、厚生労働省は得られたデータを公表する。新型コロナウイルス感染収束の「切り札」という期待もあるが、接種に不安を感じている人も多い。政府目標の1年で16歳以上全員の接種を済ませるには、接種体制の構築だけでなく、ワクチンに関する情報提供も欠かせない。(井上靖史、藤川大樹)

◆同じ職場の人を分散させ1日60人程度

 「痛くなくてホッとした」。東京医療センター(東京都目黒区)の新木一弘院長は17日、国内「第1号」の接種を受けた後、表情を緩めた。この日、同センターで計12人が接種。今後、医師や看護師、清掃などの業者ら計1700~1800人のうち希望する85%が接種をする。
 心配なのは、接種後の体調不良だ。ワクチンの添付文書によると、臨床試験(治験)では、接種後、接種部位の痛み(全体の約84%)、疲労感(約63%)、頭痛(約55%)、筋肉痛(約38%)の訴えがあった。

注射器に吸引される新型コロナウイルス感染症ワクチン=東京都目黒区の国立病院機構東京医療センターで(代表撮影)

 多くは軽度か中度で数日で消えるものの、体調不良を考慮し、同センターは同じ職場の人を分散させて1日に60人程度の接種をする方針。樅山幸彦副院長は「1人発熱で休むことになってもカバーできる」。看護師は休日の前日に接種、医師は外来や手術の前日を避けるなどの配慮もする。

◆先行接種する医師ら健康状態のデータ公表

 共同通信の6、7日の全国電話世論調査で、約63%が「接種したい」、約27%が「接種したくない」と回答した。政府は、先行接種をする医師らの健康状態のデータを公表することで、市民の不安を払拭しようと考えている。データ解析をする厚労省の研究班代表者の伊藤澄信順天堂大客員教授は17日、国民にワクチンの安全性とリスクの情報をきちんと伝えることが重要だと強調した。
 医師の間でも動きがある。感染症医ら30人で作る「こびナビ」は米国で接種をした医師の声などをネット上で発信する。米疾病対策センター(CDC)や厚労省のデータなども示し、疑問にも答える。運営する千葉大学病院特任教授の吉村健佑医師は「若者にも響くようにツイッターなども活用し、国や自治体にない部分も補いたい」と話す。

◆「予想以上の有効性、全国民の希望になる」

 ファイザーが約4万3000人を対象にした海外の治験によると、接種したグループは、接種していないグループと比べ、新型コロナの発症リスクが20分の1と少なかった。国内での160人への治験では、ウイルスの細胞への侵入を防ぐ「中和抗体価」の増加が確認された。厚労省の担当者は「海外治験とおおむね同等以上」の有効性と評価している。
 重大な副反応は、全身性のアレルギー反応「アナフィラキシー」が報告されている。CDCの約1000万人の集計では、20万人に1人の割合で報告がある。
 日本医師会(日医)の中川俊男会長は17日の定例記者会見で、「メリットがリスクを上回るのは明らか。予想以上に有効性が高い。全国民の希望になるのではないか」と話した。

関連キーワード

PR情報