<プロに聞く くらしとお金の相談室>共働き妻 夫が死亡したら?

2021年2月18日 08時05分

<Q>共働き妻 夫が死亡したら?

 40代の夫と、小学生の子ども2人の4人で暮らしています。夫婦ともに会社員で、同じぐらいの収入を得ています。もし夫が先に亡くなったとき、自分のように共働きの女性の場合、遺族年金を受けられるのでしょうか。 (愛知県在住、40代女性)

<A>子の年齢等で給付変動

 遺族年金は亡くなった人と遺族の両方が要件を満たさないと受けられない上、子どもが高校を卒業した時や受け取る人が65歳になった時など、ライフステージの変化で給付額が大きく変わる複雑な年金です。
 亡くなったのが自営業などで国民年金のみに加入していた人なら遺族基礎年金、会社員や公務員など厚生年金の加入者なら遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方を受け取れる可能性があります。まず、受け取る人の年収が850万円未満(所得655万5000円未満)で、亡くなった人と生計を同じくしていたことが条件。亡くなった人に扶養されていたかどうかは関係なく、扶養していた側が受給することもあります。
 遺族基礎年金は基本的に死亡した翌月分から、子どものいる配偶者か、子どもに支給されます。この場合の子どもとは、18歳になる年度末(障害がある場合は20歳未満)、一般的には高校卒業まで。配偶者への支給額は満額の老齢基礎年金と同額の年約78万円に子どもの人数に応じて加算が付きます。2人までは1人につき年約22万円、3人目以降は年約7万円。遺族基礎年金を受給できなくても、一定の要件を満たせば寡婦年金か死亡一時金を受けられます。
 一方、遺族厚生年金は子どもがいなくても受け取れますが、性別や年齢による条件があります。例えば、妻は何歳でも受け取れるのに対し、夫は55歳以上が条件。支給額は亡くなった人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。
 質問者の夫がもし今亡くなった場合、遺族基礎年金約78万円に子ども2人分の約45万円が加算されます。最低でも25年加入したとみなした額で遺族厚生年金も支給されます。
 夫の死亡時に妻が40歳以上か、夫を亡くした妻が40歳の時に子どもがいれば「中高齢寡婦加算」の年約59万円も65歳になるまで受け取れます。ただ、遺族基礎年金との併給はできないので、質問者の場合、子どもがいる間はもらえません。
 上の子が高校を卒業すると遺族基礎年金の加算が1人分減り、下の子も高校を出ると遺族基礎年金が支給されなくなります。代わって中高齢寡婦加算がスタート。65歳になると加算もなくなりますが、自分の老齢基礎年金、老齢厚生年金が始まります。厚生年金部分の受給額はそれまでの遺族厚生年金と、自分の老齢厚生年金の額によって調整されます。
 複雑な仕組みですが、万一のとき、どのくらいの公的保障を受けられるかを知れば、上乗せする生命保険などを選ぶ際にも役立つでしょう。

◆<詳しく>受給の条件 男女で差

 夫が残された場合はどうなるのか。遺族基礎年金は子どもがいる配偶者であれば性別を問わずに支給される。かつては子どものいる妻と子どもだけが対象だったが、2014年の制度改正で子どものいる夫も受けられるようになった。一方、遺族厚生年金は妻の死亡時に夫が55歳未満だと受けられないが、子どもは受けることができる。つまり、子どもがいる55歳未満の夫が妻に先立たれた場合、夫は遺族基礎年金のみ、子どもは遺族厚生年金のみを受ける。世帯としては遺族基礎年金、遺族厚生年金の両方を受給できることになる。
 妻の死亡時に夫が55歳以上なら自身が遺族厚生年金を受けられるが、支給は60歳から。ただ、妻の死亡時に子どもがいる場合、遺族基礎年金の受給中は遺族厚生年金がセットで支給されることになっており、子どもが高校卒業などで遺族基礎年金がなくなった後も、60歳から再び受けられるようになる。

社会保険労務士・相川裕里子さん

<あいかわ・ゆりこ> 1968年、千葉県出身。横浜市で社会保険労務士事務所「AIコンサルティング」を夫婦で経営。著書に「世界一やさしい障害年金の本」(学研プラス)。

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