<寄席演芸の人びと 渡辺寧久>客の笑顔を引き出す 似顔絵師・佐々木知子さん 

2021年2月19日 07時53分

「演芸似顔絵師」の心持ちで仕事に励む佐々木知子さん

 二〇一三年暮れ、落語や寄席演芸を題材に、漫画家やイラストレーターらが腕を競う「寄席描き展」に出品したことが、佐々木知子さん(50)の人生の潮目になった。落語家の三遊亭白鳥、太神楽曲芸のボンボンブラザースらの似顔絵が、演芸情報誌「東京かわら版」の編集者の目に留まった。「連載をしてみませんか?」
 一四年四月号から始まった「似顔絵コウザ」は七年。春風亭一之輔やねづっちら、これまで描いた芸人は総勢百人を超えた。
 「寄席や落語会で面白かった人、印象に残った人を記憶して帰宅し、ネットの画像検索でさらに資料を集める」ところから制作に着手。鉛筆で下描きした紙をパソコンで色紙に転写し、彩色した後に再びパソコンに取り込み仕上げる。
 タッチや色づかいはあくまでもソフトで明るいが、表情をデフォルメしたり少し毒っぽい風味を出すのが特徴だ。「毎回、本人の反応が気になりますが、怒られたことはないですね」
 連載をきっかけに、演芸系の仕事が広がった。綾小路きみまろ著「夫婦川柳」(小学館)のイラスト、NHKラジオ第一の創作話芸番組のポスターを発注された。最近では、玉川奈々福浪曲ライブ、柳家喬太郎独演会のポスターなども手掛け、心持ちは“演芸似顔絵師”だ。
 収入面でもう一つの柱になっているのは、東京タワーなどにある「似顔絵屋さん」で、一般客に向き合う似顔絵師としての仕事。美術専門学校を出て、イベントやショッピングモールなどに似顔絵師を派遣するプロダクションで腕を磨き、〇八年にフリーになった。
 「雑誌やポスターの仕事を“通販”、お客さまを直に描くのを“現場”と呼んでいます。絵のスキル以上に“現場”で役に立つのは接客で、いかにお客さまを笑顔にできるか、接客が大切。芸人に似てるかもしれませんね」 (演芸評論家)

ファンもどんどん増えている佐々木さんの作品


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