FBは強硬、グーグルは懐柔 オーストラリアの記事使用料義務化で対応が分かれる理由

2021年2月19日 11時57分
 ニュース記事の使用料支払いを義務づけるオーストラリア政府の規制案を巡り、米巨大IT企業の対応が割れている。フェイスブック(FB)は18日、豪州でニュース記事の共有や閲覧を制限した。これに対し、グーグルは豪州メディアと個別に交渉し、記事に対価を支払う契約を相次いで結んでいる。(ワシントン・白石亘)
 「実態を無視した法律を守るか、それとも記事の提供をやめるか、厳しい選択を迫られた。心は重いが、後者を選ぶ」。FBの声明によると、豪州のメディアがFBに記事を投稿したり、利用者が記事を閲覧したりできないようにした。フライデンバーグ財務相は「FBは間違っている。強引なやり方で評判を落とすだろう」と批判した。
 豪州では、ネットに掲載する記事の使用料を巡り、FBとグーグルに報道機関との交渉を義務づける法案の審議が大詰めを迎えた。交渉で合意できなければ、法的拘束力のある仲裁で使用料を決める世界初の規制で、近く成立する見込み。
 豪州のオンライン広告市場で8割のシェアを握る両社は、報道機関の記事に「タダ乗り」し、広告収入を奪ったと批判されており、政府が介入した形。豪州の動きは世界的な前例として注目を集めているほか、第三者の仲裁で使用料が膨らむのを嫌う両社は「実行不可能だ」と反発。FBは強硬策に打って出て、支払いを拒む姿勢を鮮明にした。
 一方、豪州での検索サービスから撤退すると警告してきたグーグルはここに来て、報道機関の懐柔に動く。豪州メディアと個別に交渉を進め、新たなニュースサービス「ニュースショーケース」に記事を提供してもらう契約を相次いで締結。17日には豪州の新聞業界でシェア7割を握る「メディア王」ルパート・マードック氏が率いる米メディア大手ニューズ・コーポレーションに3年間で数千万ドル(数十億円)の記事使用料を支払う契約を発表した。
 現地報道では、グーグルが契約を急ぐ理由は、記事使用料の支払いで報道機関と合意できれば、新しい法律の仲裁メカニズムの発動を回避できるためという。
 グーグルとFBの対応が割れた理由に関し、米紙ニューヨーク・タイムズは「世界中の情報を整理するのが使命のグーグルにとって最新ニュースは欠かせないが、FBにとってニュースはさほど中心的な存在でない」と分析。写真や意見などを共有するのにも使うFBはニュースから撤退しても失うものが少ないとみる。

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