松井玲奈、2冊目の小説「累々」 女性の多面性描く パパ活 マリッジブルー

2021年2月20日 07時19分
 女優の松井玲奈(29)=写真(上)=が二冊目の小説「累々(るいるい)」(集英社)=同(下)=を出した。デビュー短編集「カモフラージュ」から約二年。今回は主人公の若い女性を巡るさまざまな側面を描いた連作短編集で、「人が持つ多面性を物語として表現したかった」と話す。 (藤原哲也)
 半同棲(どうせい)中の三十歳の彼から味気ないプロポーズをされた二十三歳の小夜(さや)。年齢を考えると、まだ結婚に踏み切れない。親友に相談しながら悩み、揺れ動く。マリッジブルーを感じる中、美大時代の先輩から電話が−。(冒頭の一編「小夜」)
 全五編収録。全体で一つの世界観を構築している。執筆のきっかけは、何げなく見ていた「パパ活」女性の会員制交流サイト(SNS)だった。パパ活とはデートなどをして男性から金銭をもらう行為。相手次第で自分を着せ替えていくような彼女たちの書き込みを見て「これを基に物語を膨らませたら新しい小説が書けると思った」と振り返る。
 一昨年春にはプロット(筋)を書き始め、構想は早い段階で湧いていたが執筆は難航した。そこにテレビドラマの撮影なども重なり、完成まで一年以上費やした。設定の一つの美大には実際に足を運び、イメージが固まると「登場人物が生き生きと動いてくれるようになった」と回想。「前作が短距離走なら今回は中距離走を走りきった達成感がある」と手応えを話す。
 パパ活に加え「セフレ」といったきわどい題材を盛り込み、最後に付けた書名「累々」にもどきりとする。「時間が重なって一人の人間が作られていく物語としてぴったりと思った。ギョッとする言葉だと思うが、読後に意味を考えて思い返してもらえたら」
 昨年はNHK連続テレビ小説「エール」で演じたヒロインの姉役が注目され、女優としても飛躍の年となった。ヒロインが自身と同じ愛知県豊橋市出身の設定だったため、豊橋ロケは思い出深かったという。そうした充実感の中で生まれた一冊でもある。
 「苦しんで書いた分、どう自分をコントロールすれば原稿にも芝居にもしっかり向き合えるのか、一年かけて学べた」。そんな境地から次に見据えるのは長編。「読んだ人が明るく前向きな気持ちになれるようなポップな話を書けたらいい」。千五百四十円。

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