「犬を食べるから…」米国でアジア系住民へのヘイトが激化 銃撃、暴行も多発

2021年2月21日 08時00分
 【ニューヨーク=杉藤貴浩】米西海岸を中心に、アジア系市民へのヘイトクライム(憎悪犯罪)が相次いでいる。先月末にはタイ系男性(84)が歩行中に襲われ死亡。人権団体の調査では、新型コロナウイルス流行後の昨年中、身体的暴力を伴うケースだけで全米で約240件発生しており、沈静化の兆しが見えない。
 タイ系男性の事件は西部カリフォルニア州サンフランシスコで発生。地元メディアによると、住宅街を1人で散歩していた男性に、長身の少年(19)が突然駆け寄って激しく体当たりし、男性は転倒後に死亡した。家族は「コロナ以降、われわれは反アジア的な暴言を浴びてきた」と話し、事件が憎悪犯罪だったと指摘。少年は殺人容疑で逮捕された。
 同州内では、中国人街でのアジア系女性(52)への銃撃や、歩行中の男性(91)への暴行なども年明けから相次いで発生。いずれも憎悪犯罪が疑われている。とりわけ男性への暴行事件は、何者かが背後から突然突き飛ばす監視カメラの映像がネットで拡散。アジア系ハリウッド俳優2人が「我慢の限界だ」として、犯人につながる情報に懸賞金2万5000ドル(約263万円)を申し出るなど世論も沸騰している。
 米メディアは相次ぐ事件について、新型コロナを「中国ウイルス」などと呼んだトランプ前大統領の影響を指摘。アジア系の人権団体「ストップ・AAPI・ヘイト」によると、暴言や施設でのサービス拒否なども含めたコロナ後のヘイト事例は昨年だけで約2800件あった。被害の民族別の割合は中国系40・7%、韓国系15・1%、ベトナム系8・2%。「ウイルス、地獄に落ちろ」「あなたが犬を食べるから(自分の)犬が怖がっている」などといった差別発言も次々報告された。
 バイデン大統領は先月、アジア系に対する偏見を非難し、司法省などに対策を命じる大統領令に署名している。

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