中小企業や団体で「再生エネ100%宣言」広がる 取引拡大のチャンス

2021年2月22日 06時00分
 事業用の電力を全て再生可能エネルギーで賄う目標を掲げる中小の企業、団体が増えてきた。地球温暖化対策に真剣な姿勢を示すことができる上、大企業より実現の見通しが立てやすいことなどが要因だ。企業数では国内の99%を占める中小企業・小規模事業者。「再生エネ100%」を目指す動きが広がれば、大きな影響力を持つことになりそうだ。(妹尾聡太)

経営する電器店の屋根に太陽光パネルを設置している大沢俊也さん。将来は「再生エネ100%」を目指す=埼玉県寄居町で

◆企業姿勢をアピール

 「国民に一番近いところにいる中小の事業者が取り組めば、『再生エネ100%』を底上げできる」
 埼玉県寄居町の電器店「Newライフオオサワ」を家族で経営する大沢俊也さんが力を込めた。店の屋根の太陽光パネルで発電。その多くを今は売電しているが、2033年までに全てを店で使い、「100%」を達成する計画だ。
 大沢さんは業務として太陽光パネルを設置しつつ、店の近くの耕作放棄地にソーラーシェアリング設備を整備した。自ら実践したことで「顧客にも安心して太陽光発電を導入してもらえた」と、経営の「好循環」も指摘する。
 再生エネ発電施設は郊外に多いが、自前の設備を持ちにくい都市部で「100%」を目指すことも可能だ。印刷などを手掛ける社員約100人の会社「SouGo」(東京都江東区)は19年、契約する電気の再生エネ比率を高めた。ただ、それだけでは「100%」に届かないため、別の再生エネ事業者などが発行する「証書」も購入。再生エネ由来の電気を使ったとみなし、現在は実質100%を達成している。

大沢さんが電器店に設置した電気の使用状況を示す画面。晴れた日中は消費電力の大半を太陽光発電で賄う

 電気料金は割高になったが、省エネ型の空調設備に切り替えたりし、年数百万円の電気代削減に成功。取り組みが話題を呼び、環境保護に力を入れる団体からの印刷物の受注などが増えた。担当者は「どんな仕事でも『環境に配慮した』と言える」と胸を張る。

◆企業などの連携も進む

 「100%」を軸にした企業などの連携も進む。民間の枠組み「再エネ100宣言 RE Action」には「50年までに100%を達成する」と宣言した中小企業や自治体など100超の団体が参加。規模は19年10月の発足時(28団体)の約4倍になった。
 参加団体は再生エネ導入のほか、証書で「100%」を達成してもいい。コスト増にはなるが、中小の団体は①電力消費は多くない②電気を大量に使う大企業より割高な料金を払っている―といった傾向があるため、再生エネに転換する際の負担は、大企業と比べて軽いとの見方がある。民間の枠組みでは大企業が中心の「RE100」などが有名だが、「100宣言」は国内の中小企業や団体の受け皿になっている。
 米アップルが取引先に「100%」を要求するなど、再生エネか否かで企業が選別される事例も目立つようになった。環境省は新年度から再生エネ電力を増やす手法などを助言する事業を始める。環境政策に詳しい東京大の高村ゆかり教授は「気候変動問題に強い関心が寄せられている。これに応えて企業の魅力を高め、取引先から選ばれようとする動きは今後強まるだろう」と予測する。

関連キーワード

PR情報

経済の新着

記事一覧