性別欄の自由記述、間仕切り用意…ガイドライン必要 災害時のLGBT施策に課題

2021年2月22日 06時00分
13日に発生した最大震度6強の地震で、コロナ対策として間仕切りが設置された避難所。LGBTへの対応も求められている=福島県相馬市で

13日に発生した最大震度6強の地震で、コロナ対策として間仕切りが設置された避難所。LGBTへの対応も求められている=福島県相馬市で

  • 13日に発生した最大震度6強の地震で、コロナ対策として間仕切りが設置された避難所。LGBTへの対応も求められている=福島県相馬市で
 本紙の自治体アンケートでは、「パートナーシップ制度」などの施策の推進が庁内に「気づき」を与え、地域防災計画に性的少数者対応を明記する後押しとなっている状況が浮かんだ。ただ、記載内容や分量はまちまちで、自治体の担当者の声からは「当事者の困り事やニーズが見えづらい」といった課題も見えてきた。
 「防災課の意識だけだと気づきにくい部分がある。LGBT施策やダイバーシティー(多様性)推進の担当者がいて、連携できていることが大きい」。東京都文京区の鈴木大助防災課長は話した。

◆文京区ではトイレ、入浴への配慮記載

 2018年度に地域防災計画を修正した際、性的少数者の支援団体に意見を聞いた。その結果、性的少数者対応を踏まえた訓練を行うことや、誰もが安心して避難所生活を送れるようプライバシーの確保やトイレ、入浴に配慮することなどを記載した。
 昨年12月にパートナーシップ制度を始めた埼玉県鴻巣市は、制度導入に向けた庁内連絡会議で災害時の配慮や対応の必要性が共有され、21年度にも地域防災計画に記載する。担当者は「制度ができたことで、具体的に進んだ」と語る。
 千葉市は避難所開設・運営マニュアルに「性別・LGBT(性的少数者)への配慮チェックシート」がある。当事者団体「LGBT法連合会」に相談して市が作成した職員向けガイドラインの内容を反映した。

◆「細かなニーズの把握が難しい」

 一方、渋谷区防災課の行廣ゆきひろ勝哉課長は「実際に避難所でどういう困り事があるのか、細かなニーズの把握が難しい」と漏らす。
 弘前大の山下梓助教が主宰する岩手県の支援団体は、東日本大震災などでの聞き取りを踏まえた「にじいろ防災ガイド」を16年に発行している。

◆「生理用品を受け取りづらい」

 困り事として「避難所で性別欄に記入を求められるのが苦痛」「同性パートナーと逃げてきたがプライバシーが保たれるか心配」「性自認や性別表現(見た目)に沿った物資をもらいにいったら不審がられた」などがあった。関係を周囲に明かしていない同性カップルが避難所のスタッフに「どういう関係ですか?」と人前で聞かれたり、出生時の性別は女性で現在は男性として生活しているトランスジェンダーの被災者が、生理用品を受け取りづらいといった問題がある。
 このため防災ガイドでは、性別欄を男か女か選ぶ形式ではなく自由記述にすることや、プライバシーを守る間仕切りの用意、物資の個別配布などの対応策をまとめている。
 内閣府は熊本地震を受けて17年に公表した避難所での被災者支援に関する事例報告書で、性的少数者への配慮が重要だという意見を紹介。「誰もが安心して尊厳を守れるような配慮が求められる」としている。

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