テレワーク 関心と課題 可能な職場転職の条件/長時間労働の恐れも

2021年2月22日 07時29分
 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、実施が強く求められているテレワーク。コロナ禍で失業が増える中、転職先の条件として、テレワークが可能かどうかを挙げる人も目立ってきた。長時間労働につながりやすいなどテレワークの問題点を指摘する専門家がいる半面、女性に偏りがちだった家事の負担をあらためるきっかけになるのではという期待の声も上がっている。 (佐橋大)
 人材派遣の業界団体でつくる人材サービス産業協議会が昨年八月、首都圏や主要都市在住の転職希望者二千五百人に実施したインターネット調査。テレワークができるかどうかを転職の「絶対条件」、または「希望条件の一つ」と答えた人は計39・5%=グラフ。内訳を見ると、テレワーク経験者では61・3%に達し、未経験者でも32・1%だった。同協議会の池目雅紀担当部長は「働き手の関心が高まっていることは間違いない」とみる。
 一方で、同年十一月、企業の人事制度に携わる約千人が対象の調査によると、「労働条件として(テレワーク可能と)明示する」と答えた割合は、既に導入した企業・検討中の企業でも半数程度。「中小を中心に、コロナ後の方針を決めていない企業が多いことが影響している」と池目部長は分析する。
 テレワークを巡っては、次第に明らかになってきた課題が少なくない。一つが長時間労働に結びつく危惧だ。労組関係者ら約百八十人が参加し、日本労働弁護団が三日に開いたオンライン集会。弁護士で、本部の竹村和也事務局次長が指摘したのは、労働基準法三八条二との関連だ。
 この条項は本来、自由裁量で営業先を回る外勤の営業職などを想定。職場以外での労働時間の算定が難しい場合に、所定の労働時間を働いたとみなす内容だ。「これをテレワークに当てはめる例が増えている」と竹村さんは言う。集会では労組関係者から「成果を出すため時間をかけても、所定の時間しか働いていないとみられる」と、適用を疑問視する声が出た。竹村さんは「労働安全衛生法は、使用者に労働時間の把握を義務づけている」と説明。「パソコンのログの記録などを見れば労働時間の算定は容易」と、算定困難を理由に在宅勤務での時間外労働を認めない企業の姿勢を批判した。
 もう一つ、大きな問題が男女間の格差だ。連合による昨年四月の調査では、正規でのテレワーク実施率は男性の25・3%に対し、女性は18・8%。非正規でも男性の11・0%に対し女性は7・9%と、いずれも女性の方が低い。労働社会学が専門の和光大の竹信三恵子名誉教授は、女性はテレワーク用の設備投資が困難な中小企業で働く割合が高い点を理由に挙げる。加えて、在宅での勤務が難しい卸・小売り、サービス業の働き手も女性が多い。

◆家族内労働 見直す機会

 テレワークへの期待を口にする専門家もいる。家族社会学が専門の京都大大学院文学研究科の落合恵美子教授が昨年4月にインターネットで340人に実施した調査では、通勤時間がなくなり「平日も家事と仕事を両立しやすくなった」「会話が増えるなど家族間の理解が深まった」といった前向きな声が男女双方から集まった。「テレワークの推進は、男女双方にとっていいこと」と落合教授。「企業が生活の充実にも意識を向けられるような労務管理をすれば、女性に偏ってきた家族内労働のバランスを見直す良い機会になるのでは」と話す。

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