こだわりで評判のチョコレート 従業員の半分以上は障害者

2021年2月22日 14時00分
 愛知県豊橋市を拠点に全国展開するチョコレート店「久遠チョコレート」が注目を集めている。グループ全体で約500人の従業員のうち半数以上は障害者。こだわりの商品はおいしいと評判で、コロナ禍でも出店が続く。代表の夏目浩次さん(43)は「誰も排除しない社会を、このチョコを通じて示したい」と話す。(酒井博章)

商品を手際良く袋詰めする障害者の男性スタッフ

 ドアを開けると、甘いチョコの香りが漂ってきた。豊橋市の直営工場では知的障害や発達障害、精神障害などがある従業員が働く。自閉症の男性(21)は、ドライフルーツやナッツを詰めたチョコ「プレミアムテリーヌ」(税抜き380円)を袋詰めしていた。
 夏目さんは学生だった20年前、鉄道駅のバリアフリー化の研究を通じて障害者と知り合った。障害者が働いても月収が3000~4000円の例もあることを知った。「理不尽なのに、『福祉だから仕方ない』でまかり通っていた」
 障害者が自立できる場をつくろうと2003年、出身地の豊橋市内にパン工房を開いた。障害者3人を含む従業員を雇ったが、赤字が続いた。
 利益を出すには数十種の商品を日々、店頭に出さねばならず、工程は複雑。作業にスピードも求められ、障害者には簡単でない作業だった。人手が必要で人件費もかさんだ。

久遠チョコレートが販売するチョコレート=愛知県豊橋市で

 チョコに着目したのは13年。異業種交流イベントで会ったチョコ専門の菓子職人、野口和男さんに工程の単純さを教わった。カカオマスなどの材料を溶かし、型に入れて固める。パンと比べると工程は複雑でなく、利益率も高かった。
 野口さんに監修してもらいながら、味を探求。翌年にチョコ事業に乗り出した。豊橋のほか横浜市、名古屋市に直営店を開いた。全国各地の福祉事業所とフランチャイズ(FC)契約を結び、製品を製造・販売してもらっている。

「誰も排除しない社会をこのチョコを通じて示したい」と思いを語る夏目浩次さん

 現在は直営の工場、店舗の従業員約40人のうち15人が障害者だ。FC店を含めると300人近くになる。障害者の月給は直営店で15万~16万円、FC店でも平均6万円。求人を出すと応募が殺到する。
 コロナ禍にもかかわらず、20年度はグループ全体で過去最高の10億円超の売り上げを達成する見込みだ。夏目さんは「障害者だけでなく、子育て中の母親や不登校の若者、さまざまな背景のスタッフが働いている。みんなで、チョコのトップブランドを目指しています」と話している。

久遠チョコレート 一般社団法人「ラバルカグループ」(愛知県豊橋市)が運営する。現在、北海道・旭川から鹿児島まで全国展開。フランチャイズ契約した事業者も含め、東京、神奈川、埼玉など22都道府県に27店舗、20工場がある。ドライフルーツやナッツを詰めたチョコレート「テリーヌ」が主力で、1個税抜き200円。各店舗ごとに地域の特産品を入れたテリーヌもある。

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