IOCの目指す男女平等、どうなってる? 改革すべき「5つの柱」

2021年2月23日 11時00分
IOCの男女平等推進の取り組みを概観する小笠原悦子センター長 =オンライン取材画面より

IOCの男女平等推進の取り組みを概観する小笠原悦子センター長 =オンライン取材画面より

  • IOCの男女平等推進の取り組みを概観する小笠原悦子センター長 =オンライン取材画面より
  • 東京五輪では初めて採用される男女混合種目もある。卓球の混合ダブルスでペアを組む水谷隼(左)と伊藤美誠=2019年12月、中国・鄭州で(共同)
 「過去25年間、国際オリンピック委員会(IOC)はスポーツ界の女性参画を増やそうと重要な役割を果たしてきた」。東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗前会長の女性蔑視発言を受け、IOCが9日に発表した声明文には、そんな一節があった。人権意識の高まりや社会情勢に呼応し、男女平等を推進してきたIOC。その現在地から考える「平等」とは。(兼村優希)

◆IOC委員の37.5%が女性

 IOC理事会は2016年、意思決定機関の女性比率を20年までに30%とする目標を掲げた。9日の声明文によると、約100人いるIOC委員は37・5%、IOC内部の各委員会では47・8%を女性が占め、目標は達成。理事会全体では15人中5人、副会長は4人のうち1人が女性だ。
 順天堂大女性スポーツ研究センターでセンター長を務める小笠原悦子さん(62)は「(IOCでは)理事会でルールとして決めたことで、一気に進んだ。最低でも30%いれば、女性側の意見も自然と出てくる」と評価。一方、「数字ばかりが飛び交うのはよくない」とくぎも刺す。

◆目標をわかりやすく具現化

 本当の意味で、男女平等を実現するには―。そんな観点から、18年にIOC女性スポーツ委員会などが男女平等に関する25のテーマで提言した「IOCジェンダー平等再検討プロジェクト」は興味深い。「スポーツ(競技全般)」「報道」「資金」「ガバナンス」「人事」の5つの柱を立て、その柱ごとに実行すべき内容とタイムラインなどを提示。「競技会形式の男女の違いを可能な限りなくす」「運営費の一部を、ジェンダー平等の目標達成に割り当てる」といった組織側の改革だけでなく、報道陣向けにも「ジェンダーバランスのとれた描写をするようメディアガイドラインを作る」などと多岐にわたる。
 小笠原さんは「5つの柱を全部やって初めて、IOCが考えているジェンダー平等が実現するということ。(具体的な目標が)具現化されているので分かりやすい」と力を込める。
 プロジェクトでは、24年までに「IOC理事会の構成と副会長の構成を男女同数に」とも求めている。IOCが15日に発表した25年をめどに達成を目指す五輪改革の新指針案「アジェンダ2020+5」にも、ジェンダーバランスを継続的に高めるようIOCが主導することも盛り込まれた。

◆選手は約半数が女子 でも意思決定職は…

 今夏の東京五輪に参加する女子選手は48・7%を占める見込みで、現場レベルではほぼ男女同数を達成する。ただ、組織体制で同数に近づけるには、まだ時間がかかるだろう。小笠原さんは「参加の部分で50対50を達成しても、それはプロジェクトのうちの一つでしかない。意思決定職に就く女性の増加など組織レベルでの改革をし、両方のジェンダーの意見がしっかりと入ってくるようにすることが重要」と強調する。
 ましてや日本は、大きく後れをとる。小笠原さんは「こうした動きは、(海外では)13年に東京大会開催が決まって以降に急激に進んだ。一方、日本は大会準備に一生懸命で、インクルーシブ(包括)やダイバーシティー(多様性)の本当の意味も分かっていないまま。(森氏の発言に端を発する)今回の問題でそれが露呈されたが、話題に上るきっかけになったことは良かった」と話した。

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