岡本太郎美術館「TARO賞」作品展示 「自然」「コロナ」心に響かせ

2021年2月23日 07時06分

【岡本敏子賞「break on through」 高津区・モリソン小林さん(51)】 植物の根のように手足を広げ、受賞を喜ぶ小林さん=いずれも多摩区の川崎市岡本太郎美術館で

 川崎市出身の芸術家岡本太郎さんの芸術精神を継承し、時代を創造する作家を顕彰する「第24回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)」が発表され、最高賞の岡本太郎賞に大阪府富田林市の高校生大西茅布(ちふ)さん(18)の作品「レクイコロス」、次点の岡本敏子賞には川崎市高津区の芸術家モリソン小林さん(51)の「break on through」が選ばれた。入選作は市岡本太郎美術館(多摩区)で展示されている。 (安田栄治)
 十九日に開かれた表彰式で、次点の小林さんは「敏子さんには生前、何度かお目にかかることができたので、この賞がうれしい」と喜んだ。入賞作は、標本植物の根が枠を突き抜け、壁や床をはって他の植物とつながる様子を金属などで造形した作品。自然との共生をイメージしたという。
 前回、初めてTARO賞に応募したが、落選。そのときは根も枠の中に納めていたが、一年をかけ、枠を超えていく空間を造形した。審査員は「根がつながっているさまは地球規模の環境問題が連鎖していることを喚起させ、増殖していく拡張性に魅力を感じる」と評価した。
 小林さんは多摩美術大学に通っていた一九九〇年代から高津区内に住み、二〇〇一年には工房をつくり、商業施設や店舗の装飾として金属性植物アートを制作している。岡本太郎美術館には年間パスポート(定期券)を毎年購入して二十年以上通い続けたといい、「地の利でつかんだ賞ですね」とにやり。
 最年少で岡本太郎賞を受賞した大西さん。「レクイコロス」はレクイエム(鎮魂)とコロナウイルスの合成語で、新型コロナによる世の中の悲惨さを題材にした作品など油絵五十五点を並べて独特の空間を演出。
 コロナ禍で人々の生活に亀裂が入っていく様子などを迫力ある画風で描いている。「私はまだ幼く、死や悲惨な運命に直面したことはありませんが、人類の悲惨さに目をつぶるわけにはいかない。それを作品化することに衝動を感じます」と話している。
 TARO賞は、岡本太郎記念現代芸術振興財団などが主催。今回は六百十六点の応募があり、二十四点が入選。その中から岡本太郎賞、岡本敏子賞、特別賞五点が選ばれた。
 TARO賞展は四月十一日まで。入館料は一般七百円、中学生以下無料。問い合わせは、同館=044(900)9898=へ。

【岡本太郎賞 最年少受賞「レクイコロス」 大阪府・大西茅布さん(18)】 岡本太郎賞を受賞した大西さんと作品「レクイコロス」

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