コロナ禍の外国人が憩える場所に 就職や在留資格、生活相談にも対応<都の企業とSDGs>

2021年2月23日 10時04分

ゴーウェルタウン銀座本店で開かれた就職相談会(畑間香織撮影)

 東京・銀座駅から歩いて2分のビルの中に、鮮やかな緑色のカーペットが印象的なカフェのような空間が広がる。壁には求人情報が張られ、リクルートスーツが展示されている。
 
 新型コロナウイルスの感染が拡大した昨年5月、外国人の人材紹介会社「ゴーウェル」(東京都中央区)は、生活に苦しむ外国人を支援する拠点「ゴーウェルタウン銀座本店」をここに開いた。外国人は常駐の社員に就職や在留資格などの相談ができる上、無料で飲み物1杯が提供され、休憩場所としても使える。

◆異国での自らの体験が原点

 ゴーウェルタウンは外国人と企業が交流する拠点として昨夏に開く計画だった。昨年3月ごろから、職を失った外国人の相談の電話が鳴りやまず「外国人が憩える場所を」と開設を早めた。今では、月平均で約2000人が利用している。

ゴーウェルの松田秀和社長=東京都中央区で

 松田秀和社長(47)は「頼りにできる場所があるだけで、精神的な孤独感は少し減る」と話す。20代のころから各国を旅し、東南アジアに魅了された。「海外で起業したい」と夢を追い、20代半ばで就職先の大手旅行会社を退社。創業前の8年間、タイで日本人向け古本屋を開くなどして働いた。現地の人が毎晩電話をくれ、食事をごちそうしてくれたことに救われた経験が原点にある。異国の地で寄る辺ない不安を募らせる姿はいつかの自分だ。
 厚生労働省によると、昨年2月からコロナの影響で解雇や雇い止めとなった人(見込みを含む)は約8万7000人。このうち外国人の数について、同省は「国籍は調査要件ではない」と、把握していない。だが、非正規雇用が多い外国人は、真っ先に雇用悪化のしわ寄せを受けている。

◆「仕事以外の話も聞いてくれてほっとできる」

 ゴーウェルタウンを利用するネパール人のナラヤンさん(30)=千葉県八千代市=は昨年4月、契約社員として働いていた成田空港の免税店を解雇された。13年に留学生として来日。専門学校を卒業後、就労が認められる在留資格を取った。約1年半、働いた免税店を解雇された後は仕事が見つかっていない。ネパール人の妻(28)のアルバイト代と貯金を切り崩しながら生活する。ナラヤンさんは「ゴーウェルは、仕事以外の話も聞いてくれてほっとできる」と笑顔を見せた。
 10年に創業したゴーウェルが掲げる経営理念「日本とアジアをつないで人々を幸せに」は、国連のSDGs(持続可能な開発目標)の目標10「人や国の不平等をなくそう」に通じる。タイやベトナムなど東南アジア語の通訳・翻訳事業のほか、人材紹介業では年約300人の就職を仲介する。ゴーウェルタウンは今後、全国に開く計画だ。
 松田社長は「外国人を働かせてやっているという姿勢の日本人は多く、対等な関係ではない。外国人が安心して生活できる社会をつくりたい」と話す。 (畑間香織)

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