有力選手ら「クラス分け」できず 国際大会中止で選手らに影落とす<東京パラ大会まで半年>

2021年2月24日 06時00分
 東京パラリンピック開幕まで24日で半年。新型コロナウイルス禍で揺れる大会の開催を信じ、選手は地道にトレーニングを積む。一方、国際大会は中止続き。大会の場で実施される「クラス分け」の機会も失われ、代表内定者を含む有力選手たちが、パラの参加に不可欠な審査を受けられない事態となっている。強化面でも、世界の強豪と対戦できない現状は、メダルを狙う競技関係者にとって悩みの種だ。

◆体の状態 多様な選手が公平に競争するために

 クラス分けは、体の状態が多様な選手らが公平に競争するための仕組み。障害の種類や重さが同じ選手をクラス別に分ける。パラへの参加には、資格を持つ「国際クラス分け委員」の審査を受けなければならない。多くの選手が集う国際大会で実施されるのが通例だが、大会とセットで中止が相次ぐ。
 医学的な診断や競技中の動きの確認などに基づいて判断される。手足の切断など状態が変わらない場合は早く確定するが、進行性のものは判断の結果に有効期限が設けられ、数年ごとに審査を受けなければならない。

卓球で代表に内定したが、クラスが未確定の浅野俊選手=神奈川県藤沢市の県立スポーツセンターで

 卓球知的障害の19歳、浅野俊(たかし=PIA)は、2019年アジア選手権を制して代表に内定したが、クラスが未確定。日本知的障がい者卓球連盟によると、20年にクラス分けの機会が2度ほど予定されたが中止となった。連盟担当者は「外的な理由で資格を剥奪されるのは不本意」と困惑し、5~6月の海外遠征を検討する。浅野は知的障害クラスで出場枠を確保した世界の選手で唯一未確定という。

◆「待つことしかできない、自分ができることやるのみ」

 日本身体障がい者水泳連盟によると、競泳では久保大樹(ケービーエスクボタ)ら6選手のクラス分けが未完了。4月以降に大会が計画される欧州などへの遠征を視野に入れるが、大会中止の可能性や渡航制限から実現するかは分からない。久保は「待つことしかできない。自分ができることを100パーセントやるのみ」と気丈に話す。
 東京パラの1年延期でクラスの有効期限が切れ、再審査を迫られているケースも。陸上で代表に内定した57歳の伊藤智也(バイエル薬品)がその一人だ。
 数少ない日本人の国際クラス分け委員、指宿立(いぶすき・たつる)日本パラ陸上競技連盟強化委員長は、大会延期が決まった当初から現状のような事態を予想し、国際パラリンピック委員会(IPC)側に対応を求めてきた。だが、IPCはルールの「厳密な運用」を貫き、現時点で特例措置は発表されていない。

◆かつては障害偽装…厳格なクラス分け「間違っていない」

 パラには健常の外国選手が障害を偽装して出場したという暗い歴史がある。パラ競技の根幹をなすクラス分けへの厳格な姿勢を、指宿さんは「間違っていない」と理解する。ただ、今は非常事態。リモート形式の導入などを「できる範囲でやってほしい」と訴える。

パラリンピックでも活躍が期待される浅野俊選手だが…=2020年12月、神奈川県藤沢市の県立スポーツセンターで

 日本パラリンピック委員会(JPC)によると、視覚障害選手を対象にしたクラス分けが来月下旬に栃木県で実施される見通しとなった。大会は開催されないが、ブラインドサッカーやゴールボールなどを統括する国際視覚障害者スポーツ連盟が特例で機会を設ける。一方、肢体不自由は競技中の動きも観察して判断するため、クラス分けの単独実施は難しいという。(神谷円香、兼村優希)

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