<新型コロナ>病床逼迫防ぐ回復患者の転院 秦野・鶴巻温泉病院 「通常の感染対策で受け入れ」

2021年2月24日 06時45分

「科学的根拠に基づいた対応が大事」と話す鈴木院長=いずれも秦野市の鶴巻温泉病院で

 新型コロナウイルス感染者向けの病床の逼迫(ひっぱく)を防ぐ一つの手だてとして、症状が治まった患者を一般病院にいかにスムーズに転院させるかが課題となっている。四人を受け入れた秦野市の鶴巻温泉病院の鈴木龍太院長は「積極的に受けることで、コロナ患者を治療する病院が患者を受け入れやすくなれば」と話す。 (石原真樹)
 国や県は「発症から十日間が過ぎ、症状が軽くなってから七十二時間たった場合」などを退院基準にしている。他人に感染させる確率が極めて低くなったとされるためだ。ただ、入院生活で体力が衰えた人やコロナの後遺症とみられる症状や持病で治療が必要な人は、すぐに自宅に戻ることが難しい。コロナ病床を空けるためには、一般病院に転院を促す取り組みが急務となっている。
 同病院は昨年九月ごろ、国や県の退院基準を参考に独自に基準を定めて受け入れを決め、コロナ患者の治療に当たる近隣の病院に周知した。
 職員の不安を払拭(ふっしょく)しようと、鈴木院長は「回復した方は感染リスクが低い」と繰り返し説明し、さらに昨年十一月、感染の有無が一時間ほどで分かる検査機器を院内に設置した。「何かあればすぐ調べればいい」という安心感から職員の不安が解消されたという。
 これまで同十二月に一人、今年一月に二人、二月に一人を受け入れた。このうち二人は同病院で感染が判明し、転院先の病院から戻ってきた患者だ。
 受け入れるのは、脳梗塞や股関節の手術などを受けた後、リハビリが必要な患者が入院する回復期のリハビリテーション棟の四人部屋。看護師らは、コロナ以外の患者と同様にサージカルマスクとゴーグルで対応する。院内の感染制御の実務的な担当者で看護師の三橋奈美江さんは「通常の感染対策で、リハビリもお風呂に入るのも、他の方と同様にしている」と話す。
 鈴木院長は今後は変異株の動向にも注意が必要だとも指摘。「科学的根拠に基づいて、その都度一番良い対応をしたい」と話す。

回復患者を受け入れるリハビリテーション棟のロビー。職員はサージカルマスクなど一般の病院と同じ感染防止策で対応する

◆県内の後方支援病院115カ所に 県病院協会の常任理事「危機感共有できた」

 県は、回復したコロナ患者の転院先探しが難航するケースがあったことから、治療を終えた患者の転院先を探す病院と、受け入れ病院「後方支援病院」を引き合わせるシステムを導入した。1月29日〜2月18日に転院要請のあった40人のうち27人の転院を実現した。
 県によると、後方支援病院は同日現在で115カ所ある。鶴巻温泉病院はここに含まれる。ただ同病院が受け入れた4人は県のシステムを介したものでなく、他病院から直接依頼があった患者という。
 大学病院から小規模な病院まで公立、民間の計286病院が加盟する県病院協会は、コロナ病床が逼迫すると自院で感染が判明しても患者を転院できない状況が避けられなくなるとして、回復したコロナ患者の受け入れへの協力を会員に呼びかけてきた。小松幹一郎常任理事は「危機感が共有でき、理解が進んだ。これだけ増えればひとまず大丈夫ではないか」とほっとした表情を見せた。

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