<学ぼう!ワクチン 新型コロナと闘う>(中)ファイザー製、効果は? 発症率95%減 重症予防も期待

2021年2月24日 07時23分
 「発症を予防する効果は95%」。国内で医療従事者への接種が行われている米ファイザー社製の新型コロナウイルスワクチンを巡ってよく聞くフレーズだ。
 接種した百人のうち、九十五人で発熱やせきといったコロナの症状が出なかったということ? それは間違い。
 同社の臨床試験では、参加者約四万四千人を無作為に分け、ほぼ半数にワクチンを、半数に生理食塩水の偽薬を打った。偽薬を使うのは、心理的な影響などで起きた反応を取り除き、何がワクチンの成分で起きた反応かを明らかにするためだ。
 ワクチンは、接種したかどうかで効果の有無を測ることはできない。病気やけがの場合は、投与されて良くなれば効いたと実感できる。しかし、健康な人に接種するワクチンは、打たなくても発症しない人がいる。
 ファイザー製は三週間の間隔を空け、計二回打つのが基本だ。二回目の接種から七日目以降に発症した人数を見ると、偽薬で百六十二人、ワクチンを打った人で八人。発症リスクは二十分の一、言い換えると百分の五に減ったといえる。これが「発症を予防する効果は95%」の意味だ。名鉄病院(名古屋市)の予防接種センター長、菊池均さん(57)は「他の病気のワクチンと比べ、有効性はかなり高い」と話す。インフルエンザワクチンの発症予防効果は年によって違うが、20〜60%程度だ。
 菊池さんは、ワクチンを接種したグループの累積発症者数が、一回目の接種後約二週間を境に、ほとんど増えていない点にも注目する=グラフ。「このタイミングで、ウイルスの増殖を妨げ再感染を防ぐ抗体ができ始める」と推測。それ以降、九十日以上がたっても、こうした傾向は続いており「獲得した免疫が短期間でなくなる可能性も低いと考えられる」と話す。
 ワクチンの主な目的は、感染しない▽感染しても発症しない▽発症しても重症化しない−の三つだが、ファイザー製の効果が臨床試験ではっきりしているのは、発症予防だけだ。ウイルスが呼吸器の粘膜細胞に入り込む感染を防ぐことも望まれるが、確実なデータはまだない。無症状での感染もあるため、二回の接種後、感染の有無を頻繁に確認する必要があり、立証が難しい。一方、重症化した参加者十人のうち九人は非接種者で、接種者は一人。「重症化予防の効果も期待できる」と菊池さんは言う。英国など既に接種が進む国からは、それを裏付けるような報告もある。
 国内で接種対象となる十六歳以上が全員打ったとすると、何人が発症を免れる可能性があるのか。臨床試験のデータを基にすると、接種しなければ百六十二人が発症したところ、そこから八人を引いた百五十四人はワクチンが発症を防いだといえ、接種したグループに占める割合は1%未満。これを当てはめると答えは約七十八万人となる。
 気になるのは安全性だ。二十五日の最終回では痛みや倦怠(けんたい)感といった「副反応」を含むリスクについて考える。

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