<社説>老朽原発 新しい未来図描く時

2021年2月24日 07時25分
 長年の酷使で劣化の危険が指摘される「老朽原発」の延命が、なし崩しに進む。再生可能エネルギーへの追い風が、国内でもようやく吹き始めた今、原発依存に立地地域の未来はあるのだろうか。
 福井県高浜町と美浜町が、二月に入って相次いで、町内に立地する高浜原発1、2号機と美浜原発3号機の再稼働に同意した。いずれも運転開始から四十年を超える関西電力の「老朽原発」だ。
 原子炉等規制法が改正され、原発の運転寿命が四十年と定められたのは、東日本大震災の翌年のことだった。ただし、原子力規制委員会の審査に通れば、一度限り二十年までの延命を認めるという例外規定が設けてある。
 原発の建設は一九九〇年代までに集中しており、二〇三〇年までに十一基が寿命を迎えることになる。これまでに延命の申請があったのは東海第二も含め三原発四基。規制委の認可を受けた後、立地自治体が再稼働に同意するのは、高浜町が全国初だ。
 電力事業者との紳士協定により、再稼働の最終同意権を持つ福井県の杉本達治知事は、原発から出る使用済み核燃料を県外へ持ち出すよう求めており、県外での一時保管先が見つかっていないことを理由に「議論の入り口には立っていない」との立場を取ってきた。
 関電の森本孝社長は今月十二日に杉本知事と面談、「二三年末を最終期限として保管先を確定する」と約束し、「青森県むつ市で東京電力などが運営する中間貯蔵施設を利用させてもらう」という案を提示した。
 これに、むつ市は猛反発。「関電の選択肢になることはあり得ない」と全面否定の構えである。
 なのに知事は姿勢を一転。「三基の再稼働について議論に着手していただきたい」と開会中の県議会に促した。不可解だ。
 高浜町の野瀬豊町長が再稼働同意の理由について「原発が稼働することが、町の将来に資すると考えた」と述べたのは、歳入や雇用の多くを交付金など「原発マネー」に依存せざるをえない過疎地の現実の裏返しでもあるだろう。美浜町も同様だ。
 福島の事故で安全対策費がかさみ、原発は経済的に見合わなくなっている。原発に未来はない。だが一方で、依存からの脱却は簡単なことではない。
 交付金と引き換えに過疎地への立地を進めてきたのは国だ。脱原発依存の未来図をともに描く責任が国にはある。

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